◎地域便り


全国のあか牛関係者が雲仙普賢岳の麓に集う

長崎県/大森 英之
 11月21、 22日の2日間にわたって、 全国から約300名が長崎県島原市
及び深江町に参集し、 全国あか牛振興研究大会が開催された。  (社) 日本あか牛
登録協会が主催したもので、 長崎県で開かれるのは今回が初めて。 

 島原地域は、 雲仙と有明海に面した観光地としても全国に知られた所であるが、 
平成3年の普賢岳の噴火大災害による後遺症が現在もなお残っており、 地域あげ
ての懸命な復興が続けられている。 今回の大会は、 あか牛の振興はもちろんのこ
と、 被災者の中にあか牛の飼養農家が多く含まれていたことから、 研究大会を通
じて地元の人たちの復興に少しでも貢献できればという関係者の期待を込めて開
催された。 

 初日は開会式に先立ち、 深江町の一貫経営農家 (伊藤嘉邦氏、 繁殖牛59頭、 
肥育牛34頭) と肥育農家 (柴田博文氏、 肥育牛250頭) を現地視察した。 若
手後継者によるあか牛の大規模経営に、 参加者の多くが 「島原地域にこんなに大
きなあか牛の産地があったのか」 と驚いていた。 午後1時からの開会式は、 有明
海を眼下に見降ろす深江町町民センターにおいて行われた。 

 その後、 肉用牛改良・生産組合活動実態発表会が開かれ、  「豊作はまずあか牛
を飼ってから」 と題して地元加津佐町の太田寿氏が、 地域特産の馬鈴薯とあか牛
を結びつけた経営内容について力強く発表し、 続いて、 対馬、 熊本県、 秋田県、 
岩手県及び北海道の各地域の代表者がそれぞれ熱弁をふるった。 

 さらに、 あか牛振興方策をさぐるシンポジウムでは、 各参加者から 「あか牛を
もっとPRすべきだ」 など活発な意見が出され、 会場は終日熱気につつまれていた。 

 2日目は島原家畜市場で実際に牛を扱っての研究会を開催、 宮崎大学農学部の
原田宏助教授の指導のもと、 超音波による肉質診断の研修や、 長崎県を代表する
9頭のあか牛を研究材料とした審査実習に熱心に取り組んでいた。 

 開会式後の昼食会には地元で肥育されたあか牛の焼肉と、 対馬から特別に提供
された特産のシイタケに舌つづみを打ち、 あか牛の振興と次回での再会を約束し
て散会した。

【あか牛の審査研究会】


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