◎地域便り


全国和牛地方特定品種サミット開催

熊本県/市原 亜素男
 あか牛など古くから各地に定着している和牛の生産、 消費を増やそうと、 全国
和牛地方特定品種サミット (熊本県畜産物価格安定基金協会主催) が11月19
日から20日まで、 菊池郡合志町の熊本県農業研究センターなどを会場として開
催された。 

 サミットのパネルディスカッションでは、  (社) 日本あか牛登録協会の黒肥地
常務理事をコーディネーターに、 6人のパネラー (岩手県肉牛生産公社 佐藤常
務理事、 無角和種振興公社 中山理事、 高知県畜産試験場 上田場長、 南阿蘇畜
産農業協同組合 中尾副組合長、 JA菊池肥育農家 水上氏、 生活協同組合グリー
ンコープ熊本共生社 篠原氏) から活発な意見の発表があった。 また、 九州大学 
甲斐助教授、 熊本県畜産課 磯川課長からも適切な助言があった。 

 続いて褐毛和種の熊本をはじめ、 土佐褐毛の高知、 日本短角種の岩手、 無角和
種の山口の4産地の代表と消費者代表が各地の生産、 流通、 消費対策の現状や課
題を発表。 生産者の減少や高齢化で飼養頭数が減り、 今後は低コスト化に向けた
生産基盤の充実や資源確保などが課題になっていることが報告された。 

 一方で、 健康志向などの高まりを背景に、 安全性や適度な霜降りの中級肉の見
直しが進んでいることから、 今後の特定品種の需要も拡大する可能性が大きいこ
とが指摘された。 

 今後、 和牛の特質と手ごろな価格を持つ地方特定品種の特性を、 生産面や販売
面に十分生かしていくことが示唆された。 

 全国各地から約200名の参加があった本サミットは、 地方特定品種緊急総合
活性化対策事業 (農畜産業振興事業団指定助成対象事業) の一環として実施した
ものであり、 山口、 岩手に続いて第3回目の開催となった。 2日目は阿蘇地域に
おける褐毛和種の周年放牧の状況について現地検討会を実施した。


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