鹿児島県/岡村 友幸
肉用牛の子牛生産が盛んな鹿児島県曽於 (そお) 郡大隅 (おおすみ) 町の坂元 郵便局に、 1頭の黒牛が放し飼いにされ、 訪れた客や道行くドライバーを驚かせ ている。 昨年の11月25日から居座り続けるこの牛は、 中島隆 (なかしまたかし) 郵 便局長 (45歳) と近くで板金業を営む国師義治 (こくしよしはる) さん (41 歳) が今年の 「えと」 にちなんで、 電話帳に掲載されていた牛をモデルに製作し た飾りもの。 ドラム缶1個半の胴体に、 稲ワラ15束を使って肉付けし、 シュロ の皮を張り付け、 本物そっくりに仕上げた。 おまけに大隅町肉用牛共進会で贈呈 された最優秀賞のメダルとリボンまで付ける凝りようである。 完成した牛を軽トラックに積んで運ぶ途中に、 後続車がクラクションを鳴らし て 「牛が暴れて落ちるのでは」 と危険を知らせたり、 郵便局の入口横に設置して からは、 何げなく訪れた人が、 思わず声を上げて体をよけたりした。 郵便局前の 県道を走るドライバーが、 車をUターンさせ確認したり、 保育園児があぜ草を摘 み取り与えるなど、 かねて牛を見慣れている人々も、 あまりのリアルさに本物と 見違う人が続出している。 年末には、 郵便局のすぐ近くに設置された、 高さ約15メートルのクリスマス ツリーの500個の色とりどりの電球で牛が映し出され、 地区の人々やドライバ ーを和ませて (悩ませて) いた。 丑年を迎え、 地区の人々は一層の子牛相場の上昇を期待している。 【郵便局に「放し飼い」にされている黒牛】元のページに戻る