豚 肉

豚 肉


● 1月の生産量

引き続き前年同月を下回る

 1月の国内生産は、 母豚の飼養頭数の減少などから、 と畜頭数が140万5千411
頭 (▲1.2%) と8年8月以降前年同月を下回っている。 生産量も、 と畜頭数の
減少を受け、 7万5千286トン (▲0.7%、 図1) となった。 

 1月の平均枝肉重量 (全国平均) は、 76.5kg/頭 (0.5%、 図2) と8年10月
の枝肉取引規格の改正等を受けて前年同月を上回って推移している。
◇図1:豚肉の生産量◇
◇図2:豚平均枝肉重量◇

 

● 1月の輸入量

4月からセーフガード (SG) 発動

 1月の輸入量は3万4千116トン (57.1%、 図3) となった。 SG算定ベースで
は、 豚肉等の4月から月の累計輸入量が、 62万2千462トンとなり、 第4四半期 
(年度) SGの発動基準数量 (59万4千トン) を超えたため、 4月1日から6月30
日までSGが発動されることとなった。 

 内訳は冷蔵品が、 9千384トン (11.1%、 図4)、 冷凍品は2万4千731トン (8
6.5%) である。 

 国別にみると、 米国産は、 冷蔵品が4千504トン (0.4%、 図5) 冷凍品が2千
608トン (156.5%)、 合計7千112トン (29.2%) となった。 台湾産は、 冷蔵品が
4千158トン (19.8%)、 冷凍品が1万1千830トン (35.3%)、 合計1万5千989
トン (30.9%) となった。 

 ばらの不足などからデンマーク産が2千687トン (474.0%) と12月から増えて
きている。 一方、 韓国産は、 1千672トン (14.9%) と一時の勢いはなくなって
きた。
◇図3:豚肉の輸入量◇

◇図4:冷凍、冷蔵品別豚肉輸入量◇

◇図5:豚肉の国別輸入量◇

 

● 1月の推定出回り量

6カ月ぶりに前年同月を下回る

 1月の推定出回り量は、 11万6千314トン (▲0.8%、 図6) とSGが発動された
昨年7月以来6カ月ぶりに前年同月を下回った。 輸入品は、 1月からのSG・SSG
重複発動や4月からのSGの発動を見越した在庫確保の動きなどから4万1千34ト
ン (0.1%)、 国産品は生産の減少などを受け、 7万5千280トン (▲1.3%) とな
った。 

 12月の家計購入量 (1人当たり) は、 年末需要の高まりなどから427グラム (1.
0%) と好調であった。 

 12月の加工仕向肉量は、 ハムの生産量がかなり減少したことなどから、 3万7
千682トン (▲7.2%) と引き続き前年同月を下回った。
◇図6:豚肉の推定出回り量◇

 

● 1月の期末在庫量

取り崩し進むも依然高水準

 1月の推定期末在庫量は、 前月の輸入量が4万4千トンと多かったこと、 本年
6月までSGが継続されることなどから、 昨年6月までに積み上がった在庫の取り
崩しは緩やかになり、 依然、 17万1千538トン (68.0%、 図7) と高水準にある。 

 国産品は、 1万7千512トン (44.9%)、 輸入品は、 15万4千26トン (71.2%) 
である。 4月からの関税引き下げを前に未通関在庫は、 1万2千744トン (49.1
%) と増えている。
◇図7:豚肉の推定期末在庫量◇

 

● 1月の国産枝肉価格

在庫余りなどから荷動き悪く値を下げる

 1月の卸売価格 (東京市場・省令) は、 年末年始の売れ行きが伸びず在庫が残
ったことや、 暖冬でなべ物向けの需要が減ったことなどから引き合いが弱まり、 
一時的に400円を割ることもあったが、 月平均では418円 (▲7.3%、 図8) とな
った。 

 2月の卸売価格 (速報値) は、 月初めから引き合いが強まり、 連休前には品薄
感などから一時的に500円超えもあり、 月平均では、 461円 (▲14.2%) となった。
◇図8:豚肉の卸売価格(東京・省令)◇

 

● 1月の国内豚肉仲間相場

冷凍品ばら、 かたロースの動き好調
 1月の国産豚肉の仲間相場は、 冷蔵品は枝肉価格の下落に伴い全品目が前月よ
り価格を下げた。 冷凍品は、 荷動きのいいかたロースが742円 (5.7%) と前月と
比べ25円高、 ばらは598円 (▲5.8%) と同19円高で強含みであった。 

 冷蔵品、 冷凍品ともにうで、 ももなどのすそものは、 依然、 荷動きが悪く在庫
過剰となっているようで、 冷凍品うでが376円 (▲19.1%)、 ももが444円 (▲16.
9%) と昨年7月をピークに6カ月連続で下がっている (図9)。 
◇図9:国産豚肉の仲間相場(冷凍品)◇

 

● 1月の輸入豚肉仲間相場

冷凍ももを除き総じて堅調

 1月の輸入豚肉の仲間相場は、 冷蔵品は、 全品目が前月より値を上げて好調。 
冷凍品はかたロース、 ばらなどももを除き総じて堅調であった。 

 冷蔵品は、 米国産が、 円安などもありロースが839円/kg (8.6%、 図10)、 ヒ
レが1,132円/kg (15.7%) と好調。 台湾産はかたロースが795円/kg (▲1.3%) 
と前月より39円高となった。 

 冷凍品は、 台湾産ももが365円/kg (▲36.0%、 図11) と引き続き下がってい
るが、 同うでは荷が動き出し、 338円/kg (▲30.8%) と前月よりもやや持ち直
した。 

 デンマーク産ばらは、 在庫の減少などから需要が強まり、 649円/kg (▲2.0%) 
と続伸した。 
◇図10:輸入豚肉の仲間相場(冷蔵品)◇
◇図11:輸入豚肉の仲間相場(冷凍品)◇

 


今月のトピックス
4月からSG連続発動へ

 平成8年4月1日から平成9年1月31日までの豚肉等の累計輸入量 (SG算定ベ
ース) が、 62万2千462トンとなり、 平成8年度における関税の緊急措置の発動
基準数量 (59万4千トン) を超えた。 

 このため、 大蔵省は、 平成9年2月28日、 関税暫定措置法に基づきSGの発動開
始日を平成9年4月1日からと定めたことを告示した。 

 これにより、 本年6月30日までの間、 引き続きSGが発動されることとなった。 

 SGの発動により、 基準輸入価格などは次のようになる。 

平成8年度(部分肉ベース)


 9年4月1日以降、 基準輸入価格は、 3月の755.09円から26.9円低くなり726.
19円となる。 分岐点価格は3月より14.17円低い695.50円になる。 

 平成9年度の四半期毎の発動基準数量はまだ告示されていないが、 過去の輸入
数量から試算すると、 前年同期と比べて第1四半期は6割以上増、 第2四半期ま
では3割程度増と見込まれる。 

 昨年の4月から6月までの豚肉等の輸入量 (SG算定ベース) は約37万3千トン
であるが、 今年はSG発動下の第1四半期内で基準輸入数量を超えることは考えに
くい。 しかし、 7月以降、 一斉に急激な輸入を行えば、 これまでと同じテツを踏
むことになるだろう。 過去2年の経験を生かして、 秩序ある輸入が行われるよう
期待する。

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