◎地域便り


低コスト自作サイロの建設が活発化

北海道/高木 正季


 北海道宗谷支庁管内では、 スタックサイロ (底部はコンクリート盤) やCPBサ
イロ (コンクリート・パネル・バンカー・サイロ) など、 低コストで自作できる
サイロ建設が活発化している。 

 同管内の中頓別 (なかとんべつ) 町では、 酪農家集団が町・JA・宗谷支庁及び
農業改良普及センターの協力で、 昨年からCPBサイロの建設を進めている。 既存
のタワーサイロは老朽化したものも多く、 サイレージ調整作業にも人手がかかる。 
そこで、 同町の酪農家有志がCPBサイロ利用組合を結成、 「北海道元気づくり事業」 
により、 昨年1年間に7農場のサイロを建設した。 コンクリート製パネルの組立
やコンクリート工事は仲間が協力して実施。 このため、 サイレージ1トン当たり
の建設費用は6千円台と安い。 出来上がったサイロはいずれも地上式水平サイロ
なのでフリーストールやTMR方式など、 新しい乳牛飼養システムにマッチしてい
る。 また、 サイレージ原料草の踏圧作業はトラクター等で行うため、 「作業が楽
でサイレージの品質も良い」 など評判は上々。 

 CPBサイロの原型は1986年に考案され、 翌年、 網走支庁管内佐呂間 (さろま)町
で試作サイロが出来上がったことが契機となり、 現在では道内の各メーカーが多
様な製品を開発、 販売している。 

 宗谷管内の生乳生産量は前年比100.5% (昨年4月から今年1月)で、 ここ数年
の伸び率は道内でも下位グループになっている。 恵まれた飼料基盤を持ちながら、 
牧草のサイレージ向け利用割合は46%で、 根釧地域の70%台と比べて大きな開き
がある。 このようなことが、 自給飼料の生産と調整方式が生乳生産の増加量や経
営規模拡大を規制する一要因となっているようだ。 

 宗谷中部地区農業改良普及センターでは、 サイロの整備がサイレージの量的・
質的な向上に不可欠であり、 酪農基盤の強化に結びつくものと期待している。 普
及センター地区内3町村の酪農家と関係機関は新年度に向け、 それぞれの条件に
マッチしたサイロ整備とサイレージの生産対策に力を入れている。
【バケットローダを利用したコンクリート工事】

【完成したCPBサイロ】

元のページに戻る