◎地域便り


フリーバーン式牛舎が増加

愛知県/原田 英雄
 愛知県ではミルキングパーラーを使用している酪農家はこれまでのところ40戸 
(県全体の酪農家は846戸) である。 このうち、 37戸はフリーストール式牛舎で乳
牛を飼育しているが、 3戸はフリーバーン式牛舎 (一頭ごとに休息できるストー
ルが無く放し飼い方式の牛舎) で飼育している。 

 現在、 乳牛舎を新築あるいは改築しようとしている酪農家のうち4戸は、 フリ
ーバーン式牛舎を計画している。 また、 現在フリーバーン式牛舎の酪農家でさら
に同方式の牛舎を増築設計している所もある。 このように、 フリーバーン式牛舎
の増加が見られる背景には、 フリーストール式牛舎に比較して安価に建築できる
ことがある。 最近建築されたフリーストール式牛舎で安価なものは1平方メート
ル当たり3万9千円であるのに対して、 フリーバーン式牛舎では2万5千円で建
築されており、 35%安くなっている。 

 フリーバーン式牛舎の利点としては、 建築費が安価であることの他に、 敷料に
オガクズを用いた場合、 適度にオガクズとふん尿が混ざり、 ふん尿処理を行う時
に水分調節が可能であることである。 フリーストール式牛舎ではふん尿が通路上
でぬかるみ、 処理しにくいことがあげられる。 多くの酪農家は、 これを回避する
ために通路上にオガクズを敷いて対応している。 この場合、 乳牛は通路上で横が
しやすくなり、 牛体の汚れも多くなる。 このような理由からもフリーバーン式牛
舎を選択する酪農家が増えている。 

 しかし、 フリーバーン式牛舎ではオガクズを多く必要とし、 またそれが高価な
ことから経営的には必ずしも有利とは言えない。 また、 ふん尿を吸着した敷料に
乳房が直接接することから、 乳房炎になりやすくなり、 生乳中の体細胞数が多く
なることが指摘されており、 今後更に検討が必要とされるところである。

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