◎地域便り


国際化に打ち勝つ経営を目指して

鳥取県/山崎 和夫
 鳥取県東伯郡東伯町で乳牛成牛100頭、 育成牛60頭、 肥育牛 (ホルスタイン去
勢) 300頭などの乳肉複合経営を展開する (有) 岸田牧場で、 今では珍しくなっ
た未経産牛の自然交配が行われ、 酪農関係者の間で話題を呼んでいる。 

 岸田牧場 (社長田中拓三 (たくぞう) さん、 48才、 資本金800万円、 構成員3
名) は平成5年5月に法人化、 フリーバーン牛舎及びミルキングパーラー (オー
トタンデム式、 4頭複列) も完成し、 パソコンによる経営管理を取り入れている。 

 この牧場の特徴は(1)購入飼料主体の給与体系、 (2)乳牛は自家育成主体の改良、 
(3)酪農部門と肥育部門の適切な組合せ、 (4)たい肥約1,300トンを周辺の黒ボク
畑、 砂丘畑、 果樹園に供給販売、 耕種農家の土づくりに貢献等があげられる。 

 さらに、 ここでは乳牛の経産牛は人工授精だが、未経産牛は10〜15頭と和牛(雄) 
1頭を同居飼育、 自然交配で種付けしてF1を生産している。 従って種付けの適
期を観察する手間や人工授精代の出費はいらず、 受胎率100%という利点がある。 
しかし、 種付けに供用する14〜16カ月齢の未経産牛を常時10頭以上飼育する規模
でないとメリットがないと田中社長は語る。 

 また、 自然交配を実践するに当たってこの牧場では、 (1)凶暴性のある和牛の
雄には細心の注意を払い、 (2)エサは和牛には給与過多に陥らないよう、 乳牛に
は不足気味で給与、 (3)乳牛を傷つけないよう和牛は小柄な体型の但馬系を供用、 
(4)同居2カ月で獣医師に妊娠鑑定を依頼するなどの注意を払っている。 

 田中社長は 「ここでは規模、 収益性、 安全性、 生産性その他あらゆる面を検討
することで、 国際化に打ち勝つことができると確信している。 また、 そうするこ
とが経営の喜びであり、 楽しみだと思っている」 と元気一杯に語っていた。

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