◎地域便り


温水 (ぬくみず) さん、 日本農業賞大賞を受賞!

宮崎県/田中 慎一


 酪農を始めて26年、 宮崎県小林市の温水健一郎さんが日本農業大賞 (個人経営
の部門) を受賞した。 これは毎年、 JA全中、 JA都道府県中央会、 NHKが主催で行
っているもので、 本部門には53件もの応募があり、 その中で大賞の栄冠に輝いた。 

 温水さんは、 葉たばこ中心の経営からどうしても酪農をやりたい一心で、 先祖
代々引き継いだ土地を処分し、 昭和45年小林市瀬田尾地区に入植した。 市内でも
畜舎は高台にあるため、 夏期 (6月〜9月) の平均気温が24.5℃と過ごしやすく、 
飼料作ほ場がすべて畜舎周辺に集約されているため酪農経営に適した環境となっ
ている。 家族構成と経営概況については表のとおりである。 



 今回の受賞で最も評価されたのは、 管理しやすく、 作業時間がかからない自生
する草を粗飼料として利用することによって生産コストの低減を成し遂げたこと
である。 飼料畑11haを有効に活用した自給飼料主体の給与体系で、 秋冬作はイタ
リアンライグラスとライ麦の混播で3回刈り取り、 春夏作は台風の被害に遭いや
すいトウモロコシに代え、 毎年自生してくるヒエとメヒシバの2回刈り取りを行
っている。 また、 以下の点を実行している。 (1)機械利用による飼料生産作業の
単純化と省力化(2)機械で扱いやすいロールベールの通年採用で婦人の労働負担
の軽減(3)牧草の刈り取り後、 ふん尿の土地還元を機械散布で行うため作業が容
易となった点などが改善された。 

 経営の特徴として、 家族経営協定の締結による給与・賞与の口座振込、 労働時
間の設定、 休日制の導入など 「ゆとりある酪農経営」を実践、 そしてなにより「安
定した酪農経営」 を実現している。 

  「いつも励ましてくれた指導員の方々のおかげです」 と温水さんは話す。 

 今回の受賞をステップに、 家族全員で一層の省力化と生産性の向上に意欲を燃
やしている。

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