牛 肉・肉用子牛

牛 肉


◇図1:牛肉の生産量◇


7月−31,476トン (▲8.3%) 

・7年11月以降、 前年同月を下回って推移
 4〜7月累計で6.5%減


◇図2:牛のと畜頭数◇


7月の和牛−51,918頭 (▲1.8%) 
乳牛−59,332頭 (▲12.7%) 

・和牛は微減、 4〜7月累計では0.5%増

・乳牛は引き続き減少

・乳めすと畜のうち、 6歳以上の割合は、 8年には47〜50%だったが、 9年1月
 以降51〜54%と5割を越え、 経産牛の更新が進んでいると見られる。 

・4〜7月累計で12.9%減の乳去勢は、 6年の猛暑等による分娩頭数の減少の影
 響が、 肥育期間の長いF1への転換もあり、 長引いていると見られる。 


◇図3:牛肉の輸入量◇


7月−57,486トン (▲22.9%) 

・昨年大きく減少した冷蔵品は、 需要回復で9.7%増と2年前の水準に近づく
・冷凍品は、 SGの発動前で急増した前年同月に比べ、 41.3%減少

輸入見込数量(事業団調べ)


◇図4−1:米国からの牛肉輸入量◇

◇図4−2:豪州からの牛肉輸入量◇


7月の米国産−26,206トン (▲32.3%) 

・冷蔵品は、 ばら、 もも等が増え、 12,201トン(22.6%) と14カ月ぶりに1.2万ト
 ン台、 冷凍品は前年同月の約半分

豪州産−27,450トン (▲13.4%) 

・冷蔵品は需要回復傾向も、 前年同月比 2.1%の伸びにとどまる、 冷凍品は、 約
 3割減


◇図5:牛肉の推定出回り量◇


7月の推定出回り量−92,841トン (▲4.1%) 

・前月、 ほぼ1年ぶりに増加の後、 再び減少
・国産品、 輸入品ともに減少


◇図6:牛肉の家計購入量 (1人当たり) ◇


7月−272g/人 (10.9%) 

・大幅に減少した前年同月に比べ約1割増も、 2年前の同月をまだ8%下回る水準
・4〜7月累計では3.8%増と着実に回復


◇図7:牛肉の推定期末在庫量◇


7月−96,024トン (▲31.8%) 

・SG発動を見越した大量輸入で大きく増加した前年同月に比べ、 大幅減少
・在庫率 (在庫量/推定出回り量) は、 1.03カ月 (▲28.9%) と低水準


◇図8:牛肉の卸売価格 (東京・省令) ◇


7月−1,177円/kg (5.2%) 

・生産量の減少傾向、 国産品志向、 更に品揃えのきく大都市の市場に買いが集中
 していることもあり、 引き続き高水準

・和牛去勢A2以外の主要規格は、 すべて前年同月を上回る


◇図9:牛肉の卸売価格 (和牛去勢・東京) ◇


7月A5−2,399円/kg (7.1%) 

・主要規格中、 唯一下げ傾向だったA5は、 3月以降、 前年同月を上回って推移

A3−1,636円/kg (7.5%) 

・A3は、 量販店の和牛取り組み強化等から、 引き続き好調


◇図10:牛肉の卸売価格 (乳去勢・F1去勢、 東京) ◇


7月の乳去勢B2−765円/kg (5.1%) 
F1去勢B3−1,392円/kg (5.7%) 

・頭数減少の中、 輸入品から国産品にシフトしている量販店の需要等に支えられ、 
 引き続き好調

・その他、 主に挽き材、 加工用の乳メスC1は、 341円/kg (16.8%) と、 生産減、 
 需要回復等から引き続き高水準

◇図11:輸入牛肉の仲間相場◇


7月の米国産冷蔵品112Aリブアイロール−1,791円/kg (6.0%) 

・冷蔵ロイン系が好調
・在庫豊富と見られる冷凍品チャックリブは、 引き続き前年同月を大幅に下回る

豪州産冷蔵品グラス・フルセット−531円/kg (7.1%) 

・需要回復から、下旬にかけて需給が締まり、主要品目はすべて前年同月を上回る


肉用子牛

◇図12:肉用子牛 (黒毛和種) の市場取引価格◇


7月の頭数−32,901頭 (2.6%) 

・前年同月をわずかに上回るも、 母牛の頭数減少等から、 基調は減少傾向

7月の価格−357千円 (▲2.6%) 

・わずかながらも低下傾向
・8月 (主要市場速報値) は、 373千円 (4.5%) と回復


◇図13:肉用子牛 (ホルスタイン) の市場取引価格◇


7月の子牛価格−114千円 (5.2%) 

・母牛頭数の減少、 F1生産の増加等から、 取引頭数は引き続き大幅減少

・枝肉価格好調で、 肥育経営の導入意欲も強いが、 価格は11万円台で推移、 ほぼ
 高原状態か

ヌレ子価格−39千円 (▲26.0%) 

・前月より9千円下げ、 10カ月ぶりに4万円を割る


◇図14:肉用子牛 (F1) の市場取引価格◇


7月の子牛価格−198千円 (▲3.2%) 

・枝肉価格好調で肥育経営に導入意欲はあるものの、 頭数増等から、 14カ月ぶり
 に20万円を割った前月と同水準

ヌレ子価格−103千円 (▲12.4%) 

・前月に引き続き、 前年同月を1割以上下回る


トピックス1
回復する輸入牛肉の小売シェア

◇図15:牛肉の種類別購買数量シェア◇


 輸入牛肉の出回り量は、 昨年度、 7.4%の減少を記録したが、 今年4〜7月は、 
前年同期比2.4%増と回復に転じている。 

 量販店での販売状況を牛肉の種類別に見ると、 8年4月〜9年3月の間、 国産
の牛肉 (和牛+国産牛) のシェアはほぼ75〜80%で、 前年同月を多いときは2割
近くも上回っていた。 例年、 12月に向けて高まる和牛のシェアが、 早い時期から
上昇していたのも特徴である。 

 9年4月以降は、 輸入牛肉のシェアが、 米国産、 豪州産ともに回復してきてい
る。 7月までは、 2年前の水準までにまだ達していなかったが、 8月は両国産併
せて34.2%と7年8月とほぼ同水準になっている。 米国産は22.6%、 豪州産が11.
6%と、 豪州産が2桁のシェアを確保しているのが目立っている。 


トピックス2
交雑種 (F1) の生産は3割程度

◇図16:乳用牛の延べ人工受精頭数に占める黒毛和種人工受精牛の割合◇


 乳牛と和牛の交雑種(F1) の生産が増えているが、 その生産実態はこれまで必
ずしも明らかではなかった。 

 平成8年度から、 乳用牛に対する交配状況を四半期ごとに調査し、 その状況と
それに基づくF1の生産予測を情報提供するため、乳用牛生産等動向緊急調査事業 
(指定助成対象事業) が行われている。 具体的には、都道府県家畜人工授精師協会
において、 各都道府県の実態が把握できるよう、 地域的偏り等に配慮の上、 乳用
牛に対する人工受精の2割以上を目途に調査されている。 

 平成8年 (中間集計値) の乳用牛の延べ人工受精頭数に占める黒毛和種授精牛
の割合は、全国平均で30.5%と前年よりも2.4ポイント高くなっている。 地域別に
は東北地方と中国四国地方等が5割弱と高くなっており、 逆に乳牛の全国飼養頭
数の約4割を占める北海道は約1割と低いレベルにとどまっている。 

 本調査結果等を参考に、 酪農経営においては、 後継牛の生産が計画的に行われ
ることが、 重要だと思われる。 

乳用牛の延べ人工授精頭数に占める黒毛和種受精牛の割合

 資料:(社)日本家畜人工授精師協会
  注:都道府県平均及び全国平均は、都道府県毎の黒毛和種受精牛の割合(%)
    を、平成8年2月1日時点の乳用牛の成畜飼養頭数により加重平均した
    ものであり、地域毎の数値の合計とは一致しない。


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