◎地域便り


平成9年度アグリチャンピオンフォーラム開催

秋田県/山崎 司
 平成9年度アグリ・チャンピオンフォーラムが平成10年2月19日に秋田市
で開催された。

 このフォーラムは、産地づくりの推進により、国際化時代を勝ち抜き、市場に
おいて日本一といわれるような地位を築くため、県内の農業関係者が一堂に会し
意志の集結と意欲の高揚を図ることを目的としている。

 フォーラムでは、収益性の高い戦略作目の生産拡大に顕著な実績をあげた農協、
経営体の表彰が「一億円産地部門」「大産地部門」「経営体部門」「新規就農者
部門」「農村活性化部門」の5部門で行われた。

 5部門を通じて最優秀賞である農林水産大臣賞には3部門の受賞があったが、
「経営体部門」では乳肉複合畜産経営を行っている県北部の森吉町の千葉正胤さ
ん(55歳)が受賞した。

 千葉さんは、現在、経産牛79頭、年間F1肥育牛出荷頭数は25頭の乳肉複合
経営で営農しているが、経営の概要を紹介する。

 地元の高校を卒業後、北海道で2年間の研修を経て父の後を継いで就農した。

 その後、乳用牛群検定を開始し牛群改良と乳質向上に努め、現在1頭当たりの
年間平均乳量は9,046kgと県内トップクラス、乳質も全量A−1クラスとな
っている。

 また、フリーストール、TMR 方式による省力飼養方式を導入するなど、経営改
善に積極的に取り組んでいる。

 平成6年には、乳子牛の付加価値を高めるため、自家生産の F1を有効活用し
た乳肉一貫生産を導入、肥育牛舎にはパイプハウスを使用するなど低コスト生産
に努めている。長男と妻には給与専従者としてやる気を持たせる工夫をしたり、
年間を通じて酪農ヘルパーを活用するなどゆとりある酪農経営を行っている。

 これら先進的な経営を実践しているために県内の模範となる経営体と認められ
て、今回の受賞に至ったものである。

 表彰後、本県農業の牽引役として期待される57名の新農業士の認定式が行わ
れた。農業士とは、優れた農業経営を実践し、地域の農業振興や農村活性化に意
欲的に取り組んでいる農業者として県が認定した者をいう。農業者の社会的評価
を高めるとともに担い手育成や地域農業の振興及び農村活性化の先導役となるよ
うその活動を促進することを目的としている。

 午後からは、すでに平成3年より指導農業士である千葉さんを始め各部門のチ
ャンピオンとなった受賞者、新農業士の代表者をパネラーとして、「戦略作目拡
大に21世紀の夢を託して」をテーマにパネルディスカッションを行ったほか、
農業高校生、農業短大生、農業技術習得研修生による将来の夢へのメッセージが
発表され、会場には国際化時代の産地間競争を勝ち抜こうとする熱い思いがあふ
れていた。


元のページに戻る