◎地域便り


鶏ふんで地域複合経営を推進

兵庫県/山口 和光
 兵庫県朝来郡山東町の村上彰氏(50歳)は、ブロイラー年間16〜20万羽
の出荷と水田受託3ha、一部受託7haの複合経営である。

 村上氏の経営方針の特徴は薬品及び化学肥料を可能な限り使用しないことにあ
る。

1)井戸水を麦飯石(有害物質をろ過する他、ミネラルを含み活性水を作るとさ
 れている。)、セラミックス及び備長炭の槽を通し、ろ過した水を鶏に飲ます
 ことにより、ワクチン以外の薬品はほとんど使用していない。

2)雌雄別飼いによって飼料要求率が2.12から2.04に改善され、また、
 出荷日齢が雌雄で異なるため、労働力の分散が図られる。ビール粕の飼料添加
 によりヒナが強健で飼いやすい、病気にかかりにくいなどの結果が得られている。


3)鶏ふんを焼却してボイラーを動かし冬期の光熱水費の低減を図っている。こ
 れにより、灯油等を購入することがなくなった。

 以上の結果、生産費は他のブロイラー農家より約15%は低く、飼料要求率2.
04、出荷率98%(内、上物率(取引規格 A級)99%)の好成績を上げてい
る。

 一方、水稲栽培で次の点に工夫がされている。

1)鶏ふんの有効利用:鶏ふんの焼却灰と鶏ふんを土地還元し、米、黒大豆の高
 品質化、収量の増加(米約600kg/10a)及び除草剤以外の農薬の不使用、
 無化学肥料化を図っている。従って、生産費も他の農家に比べ約20%以上少
 なくなっている。

2)米を有利に販売:低農薬、有機米で味が美味しいと口コミで評判が県外にま
 で広く広がり、東は関東、西は四国まで販売されている。5、10kg等に小分
 けして、宅配便を利用している。最近では注文を満たすことが出来ないと、嬉
 しい悲鳴を上げている。

3)地域複合経営の推進:当地(特に但馬)でも農業従事者の高齢化と畜産農家
 の孤立化が進む一方、有機農業が叫ばれ、その評価が見直されてきている。

 村上氏は現在の農業(畜産、耕種)経営の問題点を上手に組み合わせて解決し、
有利な経営を実践し、次第に地域の農家の理解と協力を得て、地域農業の活性化
に貢献している。早く、第2、第3の村上氏が現れることを念願している。


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