◎地域便り


農業公園と畜産体験交流施設で地域振興

滋賀県/来本 作治


 自然と農業をテーマに異国の文化を取り入れた農村型レジャー施設「ブルーメ
(花)の丘」の一角に家畜とふれあい、楽しいドラマが体験できる畜産体験交流
施設「まきばの館北山レーベン」が、 44月19日にオープンした。

 滋賀県南東部の日野町にあるブルーメの丘は、オープンから1.年が経ち、当
初予想を上廻る120万人の入場者があり、従来の水稲、畜産、茶を主産業とする中
山間の農村地域に 1.5次産業が新たに加わったことで同地域は活性化に向け始動
している。

 農業公園は、甲子園球場の約9倍の敷地に中世ドイツ、バイエルン地方の農村
風景をイメージした建物が並ぶ「街・村」である。そこには、輸入雑貨などの販
売や、カフェテリア、欧州文化を紹介する資料館があり、周囲にはバラやハーブ
庭園をはじめ四季を感じる色鮮やかな花々が見事に咲きほこり入場者を楽しませ
ている。

 工房では、地ビールや手づくりパンをはじめ、フランクフルト、ウィンナーソ
ーセージ、牛乳やアイスクリームなど多くの生産工程を窓越しに見ることもでき、
中央には「食味」の広場がある。遠く鈴鹿の山並みにつづく一面緑の丘陵地には
羊や牛・馬が放牧され、「遊」の空間にあるステージではバイエルン地方の民謡
や芸が楽しめる。自然を生かした幾つかの池でのボート遊びや釣り、また、ミニ
ゴルフ、ゴーカートなどで多くの家族連れや若いカップルが一日のんびりと心と
体をリフレッシュ出来る場を提供している。

 これに併設して、今年の4月には、地域畜産の振興と活性化、更には、多くの
来場者に畜産への理解を深めてもらうことを目的に農事組合法人による「北山レ
ーベン」が、日本中央競馬会の特別振興資金による特色ある地域畜産創造体験交
流促進整備事業を活用しオープンした。この畜産体験交流研修施設には、8.8ヘク
タールの放牧場があり、ジャージー牛と滋賀県(近江)の特産品である近江牛
(肥育牛)、近江しゃもが飼育され、搾乳や家畜の飼育管理が体験出来る。また、
多目的研修室と手作り体験専用研修室、屋内外レストランや定員40人の宿泊施設
も整っており、近江牛や近江しゃもなど新鮮素材を使った料理や地ビールで、別
荘感覚を楽しむことができる。小学生高学年の団体を対象とした畜産体験「まき
ばスクール」定員70人も予約制で、年中無休で開園している。

 6月には世界的な建築家の安藤忠雄東大教授の設計による織田広喜ミュージア
ムがオープンし、「赤い帽子の女性の絵」など常時四十点が季節ごとに展示替え
されている。自然林と池の合間に建った水面の館ミュージアムは、ブルーメ(花)
の丘にマッチした雰囲気で訪ねる人々の魅力の的にもなっている。

 食料輸入大国を憂える畜産業に関わる者の一人として、ブルーメの丘を訪れ「街・
食・遊・観」に加え額に汗して家畜飼育を学習体験し、生産物を加工、食味する
ことによって安心・安全・高品質な国産畜産物への理解と信頼がより一層高くな
ればと願っている。

【中世ドイツ、バイエルンの農村をイメージした
農村型レジャー施設、ブルーメの丘】
   

【今年、新たにオープンした北山レーベンで
放牧されるジャージー牛】

元のページに戻る