広島県/仙波 豊三
中国縦貫道三次インターの直ぐそばにある三次家畜市場は、広島県唯一の家畜 市場である。 中国地方の和牛は、各県ともに激減している。生産の維持・拡大には関係者が 並々ならぬ努力をしてきたが、飼養者の高齢化が進んでいる。このような状況の 中では、高齢者が、少しでも、仕事しやすいように環境を整備し、また、新たな 担い手を育てていくといった対応が必要である。 そのために、昨年12月、家畜市場のいわゆるヘルパー施設として牛誘導レール を整備した。 三次家畜市場は、和子牛市場が年10回で年間上場4〜5千頭、成牛や子牛(乳 用種)を扱う一般市場が年50回で年間上場 2 万 2 千頭程度が入場する。和牛を 出荷する人の大部分は高齢者や女性であり、一般市場についても一人で何頭も出 荷する人が多い。車から降ろして競り場までの誘導、待機中に家畜の小競り合い や暴走の恐れがあり、高齢者や女性には、この 3 〜 4 時間が心身をすり減らす 重労働となる。このことが牛飼いから手を引かざるを得ない理由にもなっていた。 今回、整備された牛誘導レールは、高さ1.9メートル、牛のつなぎ場からセリ場 を通ってつなぎ場に戻ってくるものである。牛をつなぐ誘導コロ(牛をつなぐ綱) が100個程度ついている。 この、誘導レールにつないでしまえば、安心してセリの順番を待つだけで、自 然にセリ場内へ誘導されることになり、牛出荷の苦労の種が減ったと大変喜ばれ ている。 しかし、つなぎ場の誘導レールまでに距離があるため、つなぎ場の外側から中 までレールを延長して欲しいという要望が強く、追加整備を迫られている。 なお、本施設は、指定助成対象事業・肉用牛生産安定緊急対策事業により整備 されたものである。
【牛誘導レールにつないでセリ順を待つ】 |
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【スムーズにセリ場入】 |