◎地域便り


大山まきば「みるくの里」オープン

鳥取県/北嶋 史基


 鳥取県営大山放牧場は、昭和41年に大山山麓標高650mの大地に開設された。総
面積137ha(うち草地105ha)、放牧頭数年間約500頭の施設である。ここで、平成
6年度から、「大山ふれあい牧場構想」が着手された。これは、国立公園という
環境を生かし、「牧場を舞台とする自然と人間のふれあいを通じて畜産に対する
人々の理解を深め、畜産の振興発展を図るとともに、地域振興に資する。」とい
う事業である。

 この事業では、県が施設(大山まきば)を建設し、それを(財)鳥取県畜産振
興協会に移管し、大山乳業農業協同組合が管理運営を行っている。

 施設面積は約4ha、この中で現在迄に整備済みの施設は、畜産物加工展示販売
施設(みるくの里)、1.7haの牧場広場(芝生)、約620メートルの自然散策遊歩
道、駐車場(大型バス11台、自家用車154台)、トイレ等である。

 平成10年4月28日オープンした「みるくの里」は大山まきばの中核施設である。
県内産牛肉をメインとしたバーベキューキャビン(70人収容)、地元産の牛乳、
ヨーグルト、バター、生クリームをふんだんに使用したメニューのレストラン
(70人収容)を備え、販売ホールでは、新鮮な牛乳、ヨーグルト、みるく工房の
オリジナルケーキ、アイスクリームを中心に各種みるくの里グッズ、絵画・陶芸
を展示販売している。

 更に、平成10年度中には、畜産資料展示施設、乳製品・菓子の手作りが出来る
体験研修施設が整備され、平成11年には、羊、ポニー等のふれあい動物舎を備え
た動物広場も予定され、自然とふれあう一大ゾーンができあがる。

 年間の周辺動員人口は、200万人、利用者は10万人が見込まれており、大山放牧
場を核として岸本町、溝口町、大山町、米子市周辺地域の自然環境に富んだ観光
資産の再活性化の起爆材として大いに期待されている。

 運営にあたる大山乳業農業協同組合の中原組合長は、「雄大な自然環境は共有
の資産であり、大山乳業の精神的な後ろ盾でもある。新しい環境づくりは、破壊
していく開発であってはならない。土を活かし、草木や牛と共生する。その上で
人が安心してくつろぎ、やすらぎをもって楽しめるような場をつくり上げていく。
そして、それは私たちが望んできた「農」を具体的に表現できるところであるべ
きで、われわれのふるさと「大山」に受け入れられる新しい環境づくりは、開発
ではなく、自然を舞台にした「耕作」の作業であり、そういう人と自然が共生で
きる施設の運営を心がけたい」と語っている。

【大山山麓のみるくの里】

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