鳥取県/北嶋 史基
鳥取県営大山放牧場は、昭和41年に大山山麓標高650mの大地に開設された。総 面積137ha(うち草地105ha)、放牧頭数年間約500頭の施設である。ここで、平成 6年度から、「大山ふれあい牧場構想」が着手された。これは、国立公園という 環境を生かし、「牧場を舞台とする自然と人間のふれあいを通じて畜産に対する 人々の理解を深め、畜産の振興発展を図るとともに、地域振興に資する。」とい う事業である。 この事業では、県が施設(大山まきば)を建設し、それを(財)鳥取県畜産振 興協会に移管し、大山乳業農業協同組合が管理運営を行っている。 施設面積は約4ha、この中で現在迄に整備済みの施設は、畜産物加工展示販売 施設(みるくの里)、1.7haの牧場広場(芝生)、約620メートルの自然散策遊歩 道、駐車場(大型バス11台、自家用車154台)、トイレ等である。 平成10年4月28日オープンした「みるくの里」は大山まきばの中核施設である。 県内産牛肉をメインとしたバーベキューキャビン(70人収容)、地元産の牛乳、 ヨーグルト、バター、生クリームをふんだんに使用したメニューのレストラン (70人収容)を備え、販売ホールでは、新鮮な牛乳、ヨーグルト、みるく工房の オリジナルケーキ、アイスクリームを中心に各種みるくの里グッズ、絵画・陶芸 を展示販売している。 更に、平成10年度中には、畜産資料展示施設、乳製品・菓子の手作りが出来る 体験研修施設が整備され、平成11年には、羊、ポニー等のふれあい動物舎を備え た動物広場も予定され、自然とふれあう一大ゾーンができあがる。 年間の周辺動員人口は、200万人、利用者は10万人が見込まれており、大山放牧 場を核として岸本町、溝口町、大山町、米子市周辺地域の自然環境に富んだ観光 資産の再活性化の起爆材として大いに期待されている。 運営にあたる大山乳業農業協同組合の中原組合長は、「雄大な自然環境は共有 の資産であり、大山乳業の精神的な後ろ盾でもある。新しい環境づくりは、破壊 していく開発であってはならない。土を活かし、草木や牛と共生する。その上で 人が安心してくつろぎ、やすらぎをもって楽しめるような場をつくり上げていく。 そして、それは私たちが望んできた「農」を具体的に表現できるところであるべ きで、われわれのふるさと「大山」に受け入れられる新しい環境づくりは、開発 ではなく、自然を舞台にした「耕作」の作業であり、そういう人と自然が共生で きる施設の運営を心がけたい」と語っている。
【大山山麓のみるくの里】 |