香川県/長松 始
「青い国四国」の玄関口、高松空港(香南町)では、酪農家と連携して空港内 の草刈りを実施している。空港の美観を維持していくだけでなく、大雨時の効率 的な排水にも、草刈りは大きな役割を果たしている。当初は、受託会社と土地改 良区との契約により発足したが、現在は酪農家(6戸)を中心とした体制へと移 り変わっている。 主な作業実施方法は次の通りである。 ・刈取時期:6月末〜8月中旬と10月末〜12月中旬の年2回、空港内の60haを対 象としている。 ・作業工程:刈取(ロータリモア)→集草(ヘイレーキ)→梱包(ロールベーラ ー)→密封(ラッピングマシーン=個人有)の順で作業を行ってい る。 ・出役間隔:3人ずつのローテーションを組んで共同作業を実施しているが、空 港の利用時間内では草刈りが出来ない滑走路付近は夜間作業となっ てしまう。そのため、出役割当は昼間 2 / 31(10〜16時)、夜間 1/3(20〜 2 時)に設定している。 草刈りローテーションの特徴と効果は、 @ 酪農家側がラッピングマシーンを購入してサイレージ化を目指したことな どから、会社側も粗飼料利用に対する理解を深めている。また、酪農部会等 の会合がある場合は、ローテーション日程から外してもらっており、お互い の意思疎通が十分になされている。 A 年間に1,000本以上生産されるロールベールの内、ラップサイレージとして、 1戸当たり120本程度を確保している。時間的な制約や労働負担はあるけれど も、酪農家の飼料費の低減には大きな効果を上げている。 B 材料草は野草が主体であるが、各種作業の習熟度の向上により、高品質サ イレージの大量調製に結びついている。一方、サイレージ化に不適な高水分 野草や牛の採食しない雑草等は、産業廃棄物として取り扱われることになる。 C 空港草刈りを介して、会社側では経費の節減に、そして酪農家側では飼料 費の低減に結びついており、双方にとってメリットは大きいと思われる。 今後は、安全でおいしい畜産物を生産していくことに加えて、地域に対しても 何らかの形で貢献していく、畜産農家が求められているのではなかろうか。元のページに戻る