島根県/土江 博
神話のふるさと島根県出雲市上島町の勝部明美さん(55)は、奥さんの幸子さ ん、長男の信二さん(21)、甥の片石三郎さん(19)と現在繁殖牛120頭、子牛50 頭、種雄牛育成 5 頭を飼養管理している。 勝部さんは、繁殖経営だけでなく、種雄牛の育成でも県内外を問わず有名で、 優秀な種雄牛が何頭も誕生している。 経営の特徴としては 1 繁殖牛管理 120頭の内40頭は、連動スタンチョンを採用した牛舎で管理されており、その牛 舎には37aの水田を転換した運動場が隣接している。運動場の周囲は、牧柵とし てガードレールが利用されており、牛舎と運動場がうまくかみ合うことで省力管 理につながっている。飼料給与は 1 日 1 回となっている。 その他の雌牛は、別棟の牛舎でつなぎ飼いしている。 2 牛群構成 牛群構成は、ドナー(能力の高い卵を提供する牛)として供用されている牛が 40頭で、その内20頭が育種価判明牛である。そして、50頭がレセピアント(ドナ ーより採取した卵の受精卵を受け入れる雌牛)として供用されている。 120頭の内25頭がET産子であり、能力の判明したものや、その産子の牛群に生 まれ変わりつつある。 3 粗飼料生産 転作田 1 ha、畑40 a 、そして斐伊川の河川敷を12haと、草資源を有効に活用 し、乾草、サイレージを調整している。 今年は、飼料作物コンクールに参加するなど、積極的に自給粗飼料生産に努め ている。 4 その他の飼料 給与飼料は、市販の混合飼料等をベースにもみ殻、近所で入手できる豆腐粕を 配合し、低コスト化に努めている。 豆腐粕は、腐敗を防止するために真空状態に近い形でパック保存しており、短 期間のうちに配合、給与するよう心掛けている。 5 ふん尿の処理 排出される全てのふん尿は、切り返し処理によって堆肥にし、販売している。 勝部さんは、より能力の高い種畜づくりのために、将来は能力検定も兼ねて一 貫経営にシフトしていきたいと考えている。その第一歩として、昨年2月に(有) かつべ種畜牧場と法人化し、親子で築く夢の実現をスタートさせた。種畜の生産 を核に、和牛の総合牧場として親子で頑張ると将来に夢を大きく膨らましている。
【(有)かつべ種畜牧場の(右から) 勝部明美さん、信二さん、片石三郎さん】 |
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【連動スタンチョンを採用した牛舎と水田を転換した運動場。 運動場の柵はガードレールを利用。】 |