長野県/菅澤 勉
信州は、そば処として有名で、おいしいそば屋さんがたくさんある。さらに高 速交通網が整備され、そば処信州でそば製品を製造するメーカーも進出してきて いる。 近年、小諸市にそば製品の工場をオープンさせた信州ほしの株式会社では、乾 麺の製造過程で折れて販売できない製品落ちとそば殻を地元の畜産農家に利用し てほしいと無料で提供している。軽井沢町で成牛80頭を飼養している酪農家では、 その製品落ちの乾麺をTMR(乾草等の粗飼料と濃厚飼料等を全て混合させて給与す る方法)に 1 日120kg混合し(投入飼料の約6%)、給与している。そばの乾麺 は、単体では嗜好性があまりよくないが、粗タンパク質が多く、他の成分も消化 率が高いため、TMRのように混合して給与するような場合はうまく利用できる。 この酪農家はフリーストール牛舎だが、毎日そば殻300kgをオガコと混合し、牛 床に敷いている。そば殻を使い始めて1年になるが、大腸菌性の乳房炎は減少し たとのこと。 近隣の野菜農家に堆肥を販売している。水分調整はあまり期待できないが、堆 肥化したときに空気を抱き込んでくれるため、堆肥の発酵には非常に良いとのこ とである。野辺山高原でも、敷料にそば殻とオガコを混合して使用している酪農 家が数戸ある。 長野県はエノキダケ、シメジなどのきのこ栽培も盛んなところで、きのこ農家 からでる廃オガ(菌床残さ)をふん尿の水分調節剤として利用している農家は数 多くある。オガコが手に入りにくくなっているため、今後、廃オガを利用する農 家は増加すると思われる。 北佐久郡北御牧村の肉牛農家では、インスタントラーメンを製造する時に発生 する製品落ちを自家配合飼料に混合し、給与している。インスタントラーメン屑 は、養豚農家で使用している例はいくつかあると思うが、肉牛肥育農家では珍し く、自家配合全体の約10%を混合している。 このように、畜産物価格の低迷の中、畜産農家ではいろいろ工夫しながら、低 コスト生産に力を入れ、さらに利用できるものはないか、模索中である。
【そば乾麺製造時に発生する製品落ちをTMRに利用】 |
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【フリーストール牛舎にそば殻を敷く】 |
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【インスタントラーメン製造時に発生する 製品落ちを自家配合飼料に利用】 |