◎地域便り


「黒牛の里」を拠点に活動を拡大

愛知県/森下 忠


 これまでも何度か紹介してきた、大規模乳肉複合地帯にある愛知県半田市酪農
組合青年部のその後の活動を紹介する。

 同青年部では、地元の人に地元で作った牛肉を食べてほしいとの思いで、平成
6年冬から酪農後継者らが生産者直売として、牛肉の移動販売を行ってきた。そ
の後、農協の支店前で毎週金曜日に定期的に販売するようにもなり、顧客が固定
化してきたので、9年春からは、注文販売に切り替えて対応している。また、近
隣市町の農業祭りなどのイベントに参加し、知多半島で生産された「知多牛」(F1 、
和牛)のPRに努めてきた。

 移動販売を続ける中で、顧客から「直接食べられる場所がほしい」との声が上
がった。また、直売の取り組みの中で、近隣の耕種農家とのつながりも生まれて
きた。そこで、知多牛と近隣でとれた米や野菜を提供する焼き肉レストラン建設
の話が持ち上がった。これを受けて青年部では、昨年 7 月に有志 4 名が新たに
農事組合法人「黒牛の里」(代表 榊原一智(38))を組織し、固定店舗建設に
向けて活動を始めた。

 法人設立から1年をかけて、土地の貸借から資金確保、店舗建設、従業員の確
保を行い、この7月31日に焼き肉店に牛肉の直売所を併設した「黒牛の里」をオ
ープンさせた。

 店舗は、半田市出身の童話作家、新美南吉の記念館向かいにある。この店では、
知多牛と近隣でとれた農産物、地元産の酒などを提供し、農家と地域住民・地域
産業のつながりの場となるよう取り組み、酪農業が地域に根ざした「地場産業」
となるよう目指している。

【半田市酪農組合青年部の活動拠点ともなる「黒牛の里」】
 これまでの取り組みを、7月30日に北海道札幌市で開かれた全国酪農青年婦人
会議の全国大会で、中部ブロック代表として発表する機会を得た。そこで、榊原
代表は、「地元の消費者との交流を進め、地場産業として、地元に根付いた都市
近郊酪農を目指したい」とこれからの抱負を述べている。彼らは、名前を半田市
酪農組合青年部から「黒牛の里」に変え、21世紀の酪農業のあるべき姿を目指し
ている。


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