◎地域便り


農協が哺育から肥育まで引き受け

宮崎県/温谷 茂樹


 様々な、ユニークな取り組みをしている宮崎県のJA延岡(組合長:佐藤克敏氏、
組合員数23,810名)では、繁殖農家で生まれて間もない子牛をJA哺育・育成セン
ターに受け入れ、哺育育成した後、同センターに隣接する肥育センターで仕上げ
る飼養管理の受託事業を実施している。

 JA延岡は、宮崎市から北へ車で約3時間の県北地域に位置し、延岡市を含む3
町を管轄とする広域農協である。町の主な産業は、延岡市にある旭化成を中心と
した商工業と農林水産業であり、農林水産業では、特に肉用牛の飼育が盛んな地
域である。しかし、近年、肉用牛もご多分に漏れず、高齢化や後継者不足等から
生産環境は厳しく、飼養頭数も伸び悩んでいる状況にある。

 このような中で、JA延岡では、これまで中間肥育や一産取り肥育、妊娠牛の供
給、若齢肥育など様々な生産方式を組み合わせた地域生産システムのほか、長期
平均払い方式(中間肥育農家への仮払い)など「延岡方式」と呼ばれるほどユニ
ークな取り組みを実施している。

 さらに、昨年度、畜産総合対策事業を活用し、敷地面積5,246m2に鉄骨平屋建て
の哺育牛舎 2 棟、育成牛舎 2 棟、ミルク配合舎1棟から成る、JA哺育・育成セ
ンターを4,100万円余で建設した。収容能力は、哺育、育成を合わせて185頭であ
る。参加農家は18戸で、4〜5年をかけ、繁殖牛500頭を導入し、農家で生まれた
子牛を4〜 5 日で離乳し、哺育センターに受け入れ、160日齢まで管理する計画
である。

 その後、同農協肥育センターに移動し、仕上げ、系統販売する。繁殖農家にと
っては、一番手のかかる哺育育成段階が省略されるほか、哺育センターに預け入
れる段階で29万5千円の仮払いを受けられる。また、肥育牛を出荷して最終精算
する。肥育成績によってはボーナスが出る仕組みである。

 参加農家は、繁殖牛の飼育管理に専念でき、繁殖率の向上とともに安定した収
入が得られることから、今後の成果に大きな期待が寄せられている。

 

【哺育・育成センターの全景】

 

 
【独自のカーフハッチの並ぶ哺育センター】

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