石川県/塚野 八平
石川県では平成8年度から始まった地域養豚振興特別対策事業(指定助成対象 事業)を利用して、環境美化を目的にミックスフラワーの種子を養豚生産者全戸 に配布している。今年度は3年目を迎えたことから、豚舎周りの環境美化状況の 確認と、これを機会に豚舎周りの整理整頓を推進しようということで、コンクー ルを開催することとなった。ノミネートした21の生産者は全て一貫経営であり、 規模的には大小様々であった。 コンクールでは、@ミックスフラワーの状況、A豚舎周辺の美化状況、Bふん 尿の処理状況、C臭気の状況 の 4 項目に審査基準を設けて、 7 月21日〜31日 に、審査員全員が現地にて目で確認しながら審査した。 現地を見ての感想として、 @ミックスフラワーの状況 豚舎周辺への直播き、プランターの利用など様々であるが、花をきれいに 咲かせている方が多く、事業がうまく定着していることが伺われた。 A豚舎周辺の美化状況 これを機会に豚舎周辺に植樹した方や、きれいな花を各種購入してプラン ターに植え込む方も多く見られ、このコンクールが環境美化に及ぼす影響も 大きいと思われた。 Bふん尿の処理状況 当県では 1 戸当たりの飼養頭数(母豚136頭)が多く、大型化が進んでい るので積極的に環境問題に取り組む生産者が多い。処理方式としては、ふん は主にロータリー式やコンポ式、またはたい肥舎にて切り返してたい肥とし、 耕種農家などに販売していた。また、尿は浄化槽にてばっ気処理後、放流す るのが主流となっていたが、一部に不完全なものも見受けられた。 C臭気の状況 養豚経営では臭気が一番の問題となっていることから、ほとんどの方は飼 料に、飲水に、堆肥にと、いろいろな消臭剤を利用していた。また、豚舎周 りの植樹等により臭気の軽減に努めている方も多かった。 県内の養豚生産者で廃業する方は、全て環境面の問題、すなわち臭気による場 合が多く、その克服が切実になっている。少しでも問題解決に結びつく糸口にな ればとこのコンクールを企画した。審査では、各審査員が現地に出向き、目で確 認しながらその評価を点数で表現しているが、機器を利用した画一的な評価がし にくいのが難しい点である。 養豚生産者のみならず畜産生産者全員の意識向上の一助となるよう工夫し、今 後もコンクールを継続的に実施していきたい。
【審査で、最優秀賞 1 点、優秀賞 2 点、努力賞 2 点を決定】 |