◎地域便り


21世紀を目指して酪農の大規模経営へ

愛知県/森下 忠


 中央酪農会議の予測では、2000年以降、生乳生産量の減産見通しが立っている。
このような中にあって、愛知県半田市のみどり牛乳農業協同組合には、精力的に
規模拡大を進めている酪農家が多数いる。

 みどり牛乳管内には、年間1,000t以上出荷している農家は9戸あり、うち121
戸は年間2,000t以上出荷している。また、組合員124戸のうち半数以上が日量111
t以上出荷している。 1 戸当たりの平均飼養頭数は85頭(10年 2 月)で、全国
的に見ても大規模経営地帯である。

 本地域は、このように有数の酪農地帯であるが、その背景には地域リーダーの
誘導とそれを支える組合のバックアップ体制によるところが大きい。その地域リ
ーダーとなる酪農家群は、現在一層の規模拡大を進めている。

 H牧場は、ベット数200のフリーストール牛舎であるが、現在の収容頭数は300
頭近い。ベット数に対して5割オーバーとなるが、通路に寝る牛は非常に少なく、
ベットの使用効率が大変良い。111日 8 t生産している。

 またN牧場は、今年農業改良資金を借り受け、18頭ダブルのヘリンボーンパー
ラーを建設した。N牧場は以前は、つなぎ牛舎で300頭規模まで規模拡大を進めて
きたが、今回のパーラー建設に合わせて従来牛舎を改造し、フリーバーン牛舎と
した。将来的には500頭まで規模拡大を進める計画である。

 今年度中にパーラー建設を計画しているL牧場は、300頭のフリーストール牛舎
と16頭ダブルのヘリンボーンパーラーを予定している。フリーストール牛舎では、
大容量の浄化槽とふん尿を水で洗い流すフラッシング方式を組み合わせたふん尿
処理を計画しており、除ふんなどの手間をできるだけ少なくしようと、施設への
先行投資を計画している。

 この他、みどり牛乳管内には100頭以上のフリーストール・フリーバーン牛舎建
設を計画している酪農家が数戸あり、当地域の一層の規模拡大が予想される。こ
れは、リーダーとなる酪農家がフリーストール牛舎で高い成績を収めた結果であ
る。また、組合としても規模拡大農家の生産枠確保に力を入れており、農家と組
合が一丸となった取り組みの結果でもある。


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