◎地域便り


水田転作で飼料用ソルガム「葉月」を   

長野県/神戸 吉市


 平成10年の夏から、倭機械利用組合と松本農業改良普及センターでは、南安曇
郡梓川村の青木清さんのほ場40aで、長野県畜産試験場が開発した兼用型ソルガ
ム「葉月」の栽培現地適応性と、これをロールラッピングで収穫調製したときの
機械作業の適応性について、現地普及展示圃の設置をした。

 水田転作での自給飼料の生産性向上が昨今求められているなか、ソルガムは耐
湿性に優れ水田での自給飼料栽培に適してる。

 一方で、自給飼料の調製方法は、コーンハーベスターやコンパクトベーラーな
どの共同作業を要するものから、1人で作業が完結するロールベーラー等のワン
マンオペレーティングシステムに移行しつつある。このようなことから、ロール
ベーラーでソルガムを梱包して、ラッピングできないかという試験が、長野県畜
産試験場で行われた。

 通常の栽培を行ったソルガムをロールラッピングすると、ラップが破れてしま
う。長野県畜産試験場草地飼料部で育成した「葉月」は高消化性繊維を多く含み
トウモロコシサイレージ並みの発酵品質が期待でき、密植することで、ラッピン
グでの茎のはみだしによるピンホールがなくなるという性質があり、試験ではピ
ンホールはほとんどなかった。

 長大なソルガムをロールするのは、今までの栽培常識ではかなりかけ離れた技
術といえる。酪農家にとって1つの冒険であったように思う。こういった新技術
に熱意をもって取り組む農家を、幾人か改良普及員があたったところ、青木さん
から快諾を得て、今般の現地普及展示が実施された。

 今回の展示では、8月下旬に10a当たり10kg播種して11月上旬に収穫したとこ
ろ2,684kgであった。収量としてはかなり低めであるが松本農業改良普及センター
岡部普及員によれば、「播種期が6月まで早まれば、2期作が十分可能であり、
更に収量の向上が期待できる。今回のように密植すると茎が細くなり、ラッピン
グの際のピンホールも出来なかった。」青木さんら倭機械利用組合では、新しい
タイプの飼料作物として、今後取り組んでいきたいと意気込んでいる。

 11年度においては、青木さんのほ場に加え、全部で5カ所、1.4haの普及展示圃
の設置が予定されている。

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