三重県/吉田 譲
平成11年 1 月27日に三重県松阪市の三重県経済連松阪家畜市場で「第 1 回JA 三重県経済連松阪子牛共進会」が開催された。 三重県は和牛肥育県として定着している。昭和60年代前半までは子牛共進会も 開催されていた。しかし、和牛繁殖農家の減少で休止されていた状態であった。 今回の和牛子牛共進会の復活は関係者待望の10年ぶりの再開であり、県内の畜産 関係者にとっては久々に明るいニュースである。 共進会を再開することができたのは、酪農家における受精卵移植が進展したこ とと、肉用牛繁殖肥育一貫経営の取り組みが進み、子牛の生産が増加したことか ら、一部を市場に上場することができるようになったためである。 共進会には主に県内で生産された生後12カ月齢未満のもので6カ月以上飼養管 理された雌18頭、去勢28頭の計46頭の子牛が出品された。そのうち受精卵移植で 生産された子牛は半数以上の25頭であった。 当共進会に出品された46頭の子牛は生産者が手塩にかけたことがよく分かるい ずれも立派な出来栄えで、審査長の農業技術センターの山田陽稔主幹はじめ4名 の慎重な審査の結果、雌の優等賞 1 席には度会郡大内山村の江尻幸雄さん(50) 所有の紋次郎号の産子「わかな」号が、去勢の優等賞 1 席には京都府の前原 宗一郎さん(36)所有のこれも紋次郎産子「堀越25」号が輝いた。ちなみに「わ かな」号はET牛で江尻さんは酪農家である。また県外からは京都府1戸 3 頭、和 歌山県 2 戸 6 頭の子牛が出品された。 褒賞授与式の後、三重県経済連主催のセリ市で、わかな号は55万 6 千円で、堀 越25号は51万 3 千円で肥育農家に競り落とされた。審査対象外の子牛13頭を含め た計59頭の平均価格は39万 1 千円であった。
【雌の部優等賞1席のわかな号】 |
【10年ぶりのセリ風景】 |