秋田県/佐藤 勇喜
本県の酪農は、長引く乳価の低迷、高齢化や後継者不足、酪農に対する将来 不安などにより、戸数、頭数とも年々減少してきている。 平成10年 2 月 1 日現在の飼養戸数及び頭数は270戸、8,620頭となってい る。 他方、県内には乳業工場が平成 6 年度には16カ所あったが、その多くは零 細規模で、施設も老朽化し、また、量販店による牛乳の廉売などにより厳しい 経営を強いられている。 このような状況の下、秋田県の酪肉近代化計画及び乳業再編計画に基づいて、 県内酪農家の経営基盤強化、生乳の供給体制の確立及び乳業の合理化を図るた めに、県経済連等が中心となって 7 年に十文字町に新会社「秋田県農協乳業 (株)」を設立した。同年に乳業再編整備等対策事業等により、小規模な 3 工 場の廃止と衛生的かつ近代的な製造ラインを備えた新工場の建設に着手し、 8 年 7 月に完成した。 建設費は約 9 憶 6 千万円、 1 日当たりの処理能力は42トンで、主に飲用 牛乳などを製造、販売している。 また、 9 〜10年度に、秋田協同乳業(株)(田代町)、秋田森永牛乳(株) (秋田市)など 4 社は、乳業経営の健全化を図るため、同じく乳業再編整備等 対策事業により、 3 工場の廃止と、秋田協同乳業(株)のびん装ラインの新設、 1 リットル紙容器ライン及びヨーグルト生産設備の増設に取り組み、10年11 月に完成した。建設費は、約 6 憶円、 1 日当たりの処理能力は約108トンで、 牛乳、乳飲料等を製造、販売する県内最大規模の乳業工場である。同社は、び ん容器による宅配等により、県産牛乳の消費拡大に取り組むこととしている。 なお、乳業再編等の取り組みによって、本県の乳業工場はミニプラントを含め 11年 4 月には 8 工場となる。 新・増設した 2 工場は、県内の生乳の大部分を取り扱う基幹工場であるとと もに、学校給食用牛乳の供給、県民の健康増進のための牛乳提供、さらには、 本県酪農の発展並びに乳業界の体質強化等に貢献するものと、県としても大き な期待を寄せているところである。