◎地域便り


神代の味の再現、奥美濃古地鶏

岐阜県/植田 拓也


 岐阜県は、古事記にまつわる伝説が多くあり、歴史的に最も古い土地と言わ
れている。
 中でも岐阜地鶏は、天照大神をして自ら天の岩戸を開けさせた「常世の長鳴
鳥」の流れをくむ地鶏で、この岐阜地鶏をもとに、「神代の味」の再現を目指
して県養鶏試験場が平成 4 年に開発したのが、奥美濃古地鶏である。

 今日、全国では約150種の地鶏・銘柄鶏があり、ブランド競争が繰り広げら
れているが、幸いにして、奥美濃古地鶏(食肉用)の出荷羽数は順調に伸びて
おり、10年度は20万羽が見込まれている。

 「絶妙な歯ごたえとこくのある旨み」は消費者に大いに評価され、販売指定
店・料理指定店も52店に達している。

 県庁の玄関には、日展評議員神戸峰男先生作の奥美濃古地鶏雌雄像があり、
訪れる県民を出迎えてる。

 生産面では、岐阜アグリフーズ農場においては、抗生物質を排除したEM飼
育(注)を進めるとともに、武芸川町では町や商工会が一体となり飼育牧場の
整備や奥美濃古地鶏料理・加工品の開発に取り組むなど、新たな動きが続いて
いる。

 一方、流通面では県経済連と岐阜アグリフーズがタイアップし、生産と消費
の間をうまく調整し、定時・定量出荷を円滑に実施している。

 奥美濃古地鶏の将来を見た場合、生産面においても流通・消費面においても
様々な課題があることは否めない。しかし、本県では関係者がその都度、繰り
返し繰り返し話し合い、方向を出してきていることから、今後も関係者の協力
の下に基盤作りが進むと考えられ、年間30〜50万羽の出荷体制も遠くはないと
思われる。

(注)EM飼育とは、Effective Microorganism(有用微生物群)を利用して、
飼料から抗生物質を排除して飼育する取り組みである。

 

【奥美濃古地鶏雌雄像の除幕式】
 
【奥美濃古地鶏(卵用)】

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