鳥取県/山崎 和夫
中国一の秀峰・大山の中腹に広がる戦後の開拓地西伯郡中山町萩原(戸数17 戸)は酪農とゴルフ場等に出荷する芝を経営の柱とする村だ。みちのく山形県 の次男、三男が縁あって集団で入植したことから、村のまとまりは実に良い。 この村というより県酪農の中核的担い手が佐藤修さん(45)と息子の俊彦さ ん(21)だ。平成 9 、10年の 2 カ年にわたり、県畜産共進会でグランドチャ ンピオン(農林水産大臣賞)を獲得した。 昭和32年、修さんの亡父がふるさと山形から乳牛 1 頭を導入し酪農を始め た。その後、少しずつ増頭、修さんが農業高校卒業と同時に就農した47年には 牛舎を新築、20頭の規模に拡大。49年、修さんの結婚を機にさらに牛舎を増築 し30頭に拡大した。 平成 8 年、長男の俊彦さんの就業に合わせ、農業改良資金で60頭規模のフ リーバーン牛舎を、畜産近代化リース事業でミルキングパーラー等を導入し、 新しい経営に踏み切った。 牛舎の建築工事も安価に抑え、バルククーラーも中古を購入する等、徹底的 にコストを削減した。 佐藤親子は口を揃えて、「アブレスト型パーラーは、既存の畜舎を利用でき るため、建築コストは低く、種付けや検査など繁殖管理にも便利に使える。ミ キサーは駆動型なので、飼料給与も簡単であり、刃がついているので長い草も 処理してくれるので良好」と満足そうに笑みを浮かべていた。 この村の酪農組合のメンバーは日頃から仲がよく、共同で高品質の粗飼料を 生産している。 09 戸で作業用の機械を共同利用、各戸1 人ずつ男性が出役して収穫時の共 同作業等を極めて効率的に行い、良質の粗飼料生産に取り組んでいる。約58ha の飼料畑に夏作はスーダングラス、冬作はイタリアンを作付け、適期に刈取り、 作業も速い。仕上がりのラップサイレージは極上、均質で県下では定評がある。 佐藤さんの経営の発展もこの飼料生産活動によるところが大きい。今後の課 題としては、ふん尿処理のための堆肥舎、育成舎、飼料庫などの建設がある。 息子の俊彦さんが、昨年花嫁を迎え、このほどお孫さんが誕生した。若夫婦 で牛舎環境改善のための花壇づくりや芝生主体のガーデニングに夢を描いてい る。「何よりも作業しやすい環境がモットー」とも語る。夢多く和やかな一家 にエールを送りたい。
【右より、佐藤 修さん、俊彦さん、陽子さん】 |
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【平成 9 年 鳥取県共進会農林水産大臣賞を受賞した 「オリンピアンテンポビーシー」】 |