◎地域便り


遊休地での乾草生産       

静岡県/高柳 弘一


 「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」で、ご存じの静岡県中央
部を流れる大井川。この河口東側にある大井川町では、町および近在の酪農家7
戸(200頭飼育)が採草組合をつくり、町内の遊休地の野草を共同作業で刈り取
り、乳牛に給与している。

 従来より遊休地は、あったものの公共施設内であったため、立ち入ることがで
きなかったが、大井川町役場が仲介役となり、平成8年より野草の刈り取りが可
能となった。

 自生している草種は、チガヤが主体で、これに自生イタリアンライグラス、ア
カクローバー、メヒシバ、ススキ等が加わる。採草を開始した頃は、野バラ等の
灌木も生えていたが刈り取り回数を重ねるうちにイネ科草主体の草地となった。

 野草収集はタイトベール体系で実施しており、乾草の品質は、県畜産試験場に
依頼して分析したところ、CP5.9%、TDN46.7%と、購入乾草の代替えが可能な品
質であった。また、肥料散布をしていないところであったため、硝酸態窒素も22
ppmと低く、安心して給与できる粗飼料である。

 過去3年間の夏期の乾草生産費について調べたところ、乾草1kg当たり8.6〜13.2
円、TDN単価で18.6〜28.2円と非常に安く、自給飼料の目標TDN単価の50円を大幅
に下回り、低コストな生産が確保されている。

 現在のタイトベール体系では、労働時間の過半を梱包乾草の積込み搬出にかけ
ており、刈り残しや労働過重が問題になっている。採草組合では、本年度、ロー
ルベール体系機械(中型ロールベーラー、ベールラッパー等)の導入を計画して
いる。これにより、作業効率の向上とさらなる粗飼料確保対策が図れることにな
り、刈り取り面積は18haから30haへと拡大する。粗飼料自給率(TDN換算)も、
23〜38%が見込まれ、15ポイント程度のアップを計画しているところである。
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【梱包された乾草】
【梱包乾草の積込み搬出】

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