◎地域便り


養豚を核として地域複合農業を展開

秋田県/土田 正広


 鹿角地域は、十和田八幡平国立公園に抱かれた緑の山々と清流に恵まれた自然
豊かな環境にあり、古くより青森県や岩手県との交流が盛んで、この地方独特の
文化・生活圏を形成している。

 また、古くから日本短角種をはじめとした畜産が盛んで、農業粗生産額(平成
9年)では、秋田県全体が米に大きく依存しているのに対して、米(36.7%)、
畜産(33.8%)、野菜(15.8%)とバランスのとれた複合農業が定着している。

 この地域に、今春、国内最大規模のSPF養豚場が完成した。養豚施設は、2団地
で母豚3,000頭の一貫経営農場であり、年間70,000頭の出荷を見込み、既に40,000
頭程度の出荷体制が整い、来年度からの本格出荷を目指している。

 養豚団地の建設は、産地食肉センターである(株)ミートランドまでを含めた
生産から加工流通にいたる生販一体型の養豚の一大産地を目指したものである。
養豚産地の拡大はもとより、良質たいきゅう肥を通じた野菜等の耕種部門の振興、
さらには、ミートランドを介した消費者や地域産業との連携へと、地域全体の活
性化に重要な役割を果たしており、養豚を核としたクリーンでグレードの高い地
域複合農業の生産基盤が整ったものである。

 養豚団地の肉豚は、ミートランドで全量解体処理し、首都圏を中心に「十和田
湖高原ポーク・桃豚」として販売されており、10年10月には首都圏コープ事業連
合と産直の協定を結んでいる。

 また、養豚団地からのふん尿については、隣接するたい肥処理施設である(有)
クリーンセンターで良質のたいきゅう肥に生まれ変わり、野菜団地に供給され、
十和田高原クリーンキャベツとして出荷されている。

 養豚団地を核とした畜産と耕種部門との有機的な連携による地域複合農業の取
り組みが、消費者の理解と評価を得て新たな連携が生まれるなど、地域全体の農
業構造が大きく変わろうとしており、21世紀の本県農業の目指すべき姿として強
力にその推進を図っている。

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