埼玉県/中島 敏行
黄色い旗に黒字で「彩の国黒豚」、それを取り巻く黒山の人だかり。先日、埼 玉県畜産センターで行われた「畜産フェア’99」の光景である。県内の畜産団体 や地元江南町などが敷地内にテントを張り出店。牛肉、豚肉、アイスクリームに 卵などさまざまな畜産物の試食、購入ができることもあり、多くの人々が集まっ た。その中で、ひときわ目を引いたのが、冒頭の「彩の国黒豚」だった。 今、何かと話題の黒豚だが、これは正真正銘本物の黒豚、イギリス系純粋バー クシャー種の豚肉である。生産しているのは、花園地区を中心とした養豚農家集 団、その名を「彩の国黒豚倶楽部」という。昨年設立され、会長に花園町の笠原 常正さん(60歳)、副会長に深谷市の橋本雄二さん(49歳)、監事に花園町の笠 原国行さん(47歳)、飯島喜智男さん(36歳)という全員幹部、全員役付きのこ の倶楽部は、人数は4人だが事務局をJA埼玉県経済連(平野政利会長)におき、 その活動は精力的である。イギリス系純粋バークシャー種の種豚を、イギリスか ら一昨年8頭、昨年10頭、今年はオーストラリアから16頭輸入し、血統の更新も 順調だ。全国的な知名度はまだ高くはないが、もともと花園町は黒豚生産のメッ カである。イギリスバークシャーを明治時代から飼育し続けること100年。そん な歴史のある花園町で飼料は統一し、その原料にもこだわるなど安心とおいしさ を追求し、消費者の喜ぶ豚肉を生産している。また、環境保全対策についても熱 心で、新築豚舎は環境保全に配慮したモデル豚舎、夏には悪臭防止剤を継続使用、 害虫駆除対策などを行い周辺住民との調和も図って理想的な状態である。 また、彩の国黒豚シールやポスター、のぼりにはっぴを作成、各種催しへ参加 し埼玉県産の本物の黒豚「彩の国黒豚」のPRに努めている。特に各種の催しでは、 しゃぶしゃぶやウインナーの試食が大変な好評を得ている。試食をした人から、 どこで売られているのかを聞かれることも少なくない。 当倶楽部で作られた黒豚は希少性が高いが、埼玉県食肉組合加盟店の精肉店で 購入できるほか、会員の直営レストラン(熊谷市2カ所、寄居町1カ所)で気軽に 食べることができる。
【看板も見てください。】 |