愛知県/森下 忠
愛知県半田市のN牧場は、今年6月に1日当たり出荷乳量が10tを超えた。当牧 場は乳肉複合経営で、昨年度、農業改良資金で18頭のダブルのヘリンボーンパー ラーを建設、合わせて係留式牛舎を改造してフリーバーン牛舎として規模拡大を 行った。 乳肉複合経営のメリットとして、生まれる子牛を自家保留し、一貫肥育して出 荷するため、素牛代がかからず、飼い直しの必要がないことがある。このメリッ トを最大限に生かすには、生まれた子牛を1頭でも多く留保し、出荷することで ある。そのためには、事故の起こりやすいほ乳から育成期にかけての管理に細心 の注意を払う必要がある。 N牧場では、子牛管理を適切に行うため、古い搾乳牛舎を改造したほ乳舎を設 置している。各牛房前には飼料箱、飲水施設、ほ乳バケツがセットしてある。ほ 乳は、一度に大量に調合し、各ほ乳バケツに移して給与しており、ほ乳の温度管 理と濃度の均一化が図られるとともに、作業が単純化されている。ほ乳舎は自宅 のすぐ横にあり、常に目の届きやすい位置にある。 育成舎は、規模拡大に合わせ、昨年7月に2階建て牛舎を建設した。右下写真左 側にある2つのコンテナは敷料入れで、チェーンブロックでつるしてある。レー ルは2階部分奥まであり、つったまま移動して各パドックに散布できる。また、 右側はエレベーターになっており、子牛や飼料の運搬に使われる。育成舎を2階 建てにしたことで、単位面積当たりの収容頭数が倍になり、敷地面積の有効利用 が図られている。また、通気性に優れるため、子牛の飼養環境が良好に保たれて いる。 酪農家の規模拡大には子牛の増加がつきものであり、健康で事故を少なく飼う ためには、このように専用の施設を設け、適切に管理することが有効である。
【ほ乳舎はふるい搾乳牛舎を改造】 |
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【育成舎は新築2階建て】 |