◎地域便り


肉用牛振興は放牧場から    

鳥取県/荒金 敏文


 日野郡は鳥取県の西南部に位置しており、4町で構成されている。中国山地の
中にあり標高80〜900mの間で農業が行われている。

 この地域は昔から米と和牛を主体とした農業を展開してきた。特に畜産農家は
多くの実績を重ね、和牛繁殖地帯を作り上げてきた。

 厳しい状況となった現在であるが、和牛振興はこの地域には欠かせない重要課
題として取り組んでいる。そして、数年前から以前は当たり前に利用されていた
「放牧場」に、再び関心が集まってきた。

 日野郡4町の中で日野町、江府町は平成元年にそれぞれ約20haの放牧場が整備
された。2つの放牧場とも、30頭から40頭が放牧され地元の畜産農家の経営安定
に役立ってきた。そして、平成10年度には日南町20ha、溝口町14haが整備され、
今年5月から利用されている。これで日野郡全町に放牧場が完成したことになっ
た。

 日南町、溝口町は、多くの農家が初めて経験することなので、事故等を心配す
る農家もあった。しかし町・農協から、農家への説明が熱心に行われたことや、
放牧の講演会も数回にわたり開催されたことなどから、農家の心配は解消されて
いった。このような事前の努力の結果、農家の理解を得ることとなり、目標とし
た頭数での放牧開始となった。

 4放牧場とも放牧期間は、5月から11月頃までである。各放牧場は立地条件、土
質、草生など特徴があり、それぞれ持ち味を活かした利用方法をとっている。

 牛の健康チェックは、月1回検査が実施されるので、農家の方も安心して放牧
できる。放牧場の効果はすぐ現れた。「舎飼いに比べ牛が良くなった」と利用農
家の声である。

 放牧場整備により新しい畜産振興がスタートした。日野郡の畜産は一歩一歩確
実に進歩している。
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【放牧の活用で、牛も人ものびのびと!】

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