★ 事業団から


−統計解説シリーズ− 食肉市況調査について

食肉生産流通部食肉課




調査の内容

 食肉は、と畜後、枝肉から解体され、部分肉に分割・整形された後、さまざま
な加工・流通の過程を経て消費者に提供される。その中で、国産の枝肉について
は、食肉卸売市場における取引価格が牛肉・豚肉の卸売価格の指標となっている。
しかし、国産の部分肉および輸入品については、食肉問屋間取引(大手卸→中・
小卸)または食肉問屋と量販店等の間の取り引きにおける「建値市場」が必ずし
も存在しないため、当事業団がこれらの取引価格(仲間相場)を調査することに
より、部分肉の卸売価格に関する情報を提供してきている。

 この調査は、牛肉、豚肉それぞれについて、国産品・輸入品別、冷蔵品・冷凍
品別、部位別(品目別)に毎月15日および月末における取引価格(営業倉庫渡し
価格、消費税抜き)をとりまとめた内容となっている。特徴的な点は、冷蔵品だ
けでなく冷凍品を含んでいること、関東、東海、近畿、九州等全国の大手卸問屋
(食肉加工メーカーを含む)が調査対象であることおよび価格以外に半月先の
「市況気配」(上り気配、保合、下り気配)を調査していること等である。

 なお、この結果は、「畜産の情報(国内編)」および「畜産物市況速報」で公
表している。(本誌の57、60〜61ページ、資料編20、33〜35ページをご参照下さ
い。)


調査の結果と最近の価格動向

 調査結果をもとに、最近の価格動向から特徴的な動きを紹介したい。

牛肉(図1〜3)

 平成12年の牛肉の部位別価格の水準は、前年同月と比較して、総じて国産品
(特に格付け2および3等級)が高く輸入品が安いという傾向が続いている。

 豪州産のうち、輸入の主要品目である冷蔵品(チルド)のグラスフェッドフル
セットは、12年には、一貫して前年を下回って推移しており、前年同期比(12年
1月15日〜10月15日)では平均14%安と調査開始以来最も安い水準となっている。

 また、ハンバーグ等用に輸入量が増加していると見られる冷凍品(フローズン)
のトリミングも前年を下回って推移しており、前年同期比では6%安となってい
る。豪州では、牛の生体価格が近年にない高値水準にあるものの、豪ドルの対米
ドル相場が史上最安値を更新するなど、まれにみる豪ドル安が続いていることか
ら、わが国の輸入価格が大きく低下していることも一因であろう。

 米国産についても11年以降ほぼ同様の傾向を示しており、例えばステーキ、し
ゃぶしゃぶ・すき焼き用となるチルドのリブアイロールは、近年のステーキ商材
から焼き肉商材へのシフト等から価格もおおむね前年を下回って推移している。

 一方、焼肉用の重要品目であるフローズンのショートリブは、他の品目と異な
り、11年6月以降前年同月を上回っている。本調査による12年の相場水準は1,600
〜1,900円とヒレに次ぐ高値品目である。

◇図1 国産牛肉仲間相場(対前年同月比)◇

◇図2 豪州産牛肉仲間相場(対前年同月比)◇

◇図3 米国産牛肉仲間相場(対前年同月比)◇


豚肉(図4、5)

 国産品は、12年の生産量が前年をわずかに下回っているにもかかわらず、消費
が伸び悩んでいることなどから、価格はおおむね前年水準を下回っている。

 輸入品についても総じて前年の水準を下回っているが、フローズンのばらは、
好調な需要の伸びからデンマーク産、カナダ産いずれも前年の水準を上回ってい
る。

◇図4 国産豚肉仲間相場(対前年同月比)◇

◇図5 輸入豚肉(フローズンばら)仲間相場(対前年同月比)◇

元のページに戻る