広島県/仙波 豊三
2000年というこの大きな節目に、広島県立畜産技術センターは、創立100周年 を迎えた。明治33年(1900年)に、農商務省がここ広島県北部、現在の庄原市七 塚町に国立七塚原種牛牧場を開設したのが原点で、その後、大正12年(1923年) には、広島県へ移管され、種畜場時代を経て、昭和47年(1972年)に畜産試験場 となるなど、農業・畜産の発展と時代の要請により変遷しながら、今日まで一貫 して畜産技術の開発・普及の拠点として、あるいは地域における畜産の故郷とし てあり続けている。 その畜産技術センターの一画で毎年実施してきた「広島ふるさと畜産まつり」 を、今年はこの100周年記念式の協賛行事として開催することとし、10月22日 (日)、同センターの芝生広場に設けられた舞台で挙行された100周年記念式典 は、厳粛のうちにも、華やかさを添えて盛り上がった。 この日は、前日の雨も上がり、同センターのOBが家族連れで参加するなど、 老若男女、参加者総数約6,000名と記録を更新した。 広島牛の丸焼コーナーは、毎年の人気コーナーの1つであるが、今年は、これ に加えて広島県食肉事業協同組合連合会がクローン牛肉の安全性を啓発するため、 県内初めてのCビーフ(クローン牛肉)無料試食コーナーを開設した。広島市か らも消費者代表が参加するなど、老若男女が長い列を作って辛抱強く順番待ちを するなど、ことのほか盛況であった。 クローン牛肉は、同センターが生産した広島牛の受精卵クローン牛を肥育農家 で肥育したもので、参加者は特にためらう様子も無く一様に「柔らかくておいし かった」と上々の評判であった。 同センターでは、今や先端技術を駆使した家畜改良もメインテーマの1つで、 100年の歴史と伝統の上にますます地域に密着した技術開発、特に広島牛の改良 には力をつくしてほしいとの期待も大きく、その成果が待たれる。 また、毎年実施される「広島ふるさと畜産まつり」が、生産者と消費者の交流 の場となり、正しい畜産物の知識啓発の場として活用され、ますます発展するこ とが期待される。
【明治33年創立、一貫して 技術開発・普及の拠点】 |
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【Cビーフバーベキュー】 |