北海道/田中 義春
北海道網走管内滝上町では北海道農業元気づくり事業で、牛舎内にトンネル換 気を設置した。これは牛舎の壁に大型換気扇を設置して、牛舎内部の空気を強制 的に引っ張り、入れ換えようとするものだ。平成11年は猛暑の影響で町内では乳 量がダウンし、熱射病は22頭、乳房炎が多発するなど、疾病が多く発生したため、 地域全体で取り組むことになった。 滝上町の酪農家45戸から希望をとり、その結果、酪農家19戸が賛同して、11年 12月中旬から12年2月まで順次工事が行われた。牛舎の幅、長さ、高さと風速か ら必要とする換気扇が計算されるが、壁が狭かったり障害物があったりで、屋根 や横壁に設置する酪農家もあった。牛舎の大きさによっても異なるが、1戸当た り換気扇4台〜8台、費用は90万円程で完成した。 導入した酪農家の声を聞いてみよう。冬期間であるにもかかわらず、牛舎を閉 め切ってもにおいが無くなった。例年なら窓も霜が付いていたが、湿気が無くな り牛床通路が乾いた。また、牛舎仕事から家に帰ってきても作業着の臭いが染み 付かなくなった。「搾乳をしても緩やかな風が吹いており作業が快適だ」など、 一部で厳寒期にはウォータカップが凍ったなど苦労している酪農家がいるものの、 大変好評であった。 今後、トンネル換気の効果が、農業者の感触だけでなく、乳量や乳質など、数 値的にあらわれるものと期待している。 北海道では、スタンチョンなどの繋ぎ飼い牛舎を中心に牛床、飼槽、水槽など、 牛の快適性の追求が各地で行われ、成果も発表されている。酪農も人間の発想か ら牛の発想へと着眼点が変わってきている。
【牛舎の壁に換気扇を設置】 |
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【外側からみたトンネル換気】 |