◎地域便り


合理化、機械化の徹底で国際競争を克服

企画情報部


 県農業法人協会の会長を務める瑞浪市の原昭平さん(68歳)は農事組合法人東
濃ブロイラーセンターの代表理事。同センターは今年3月、第29回日本農業賞の
大賞に輝いた。日本農業大賞は毎年度、全国農業協同組合中央会等が主催し、意
欲的に経営や技術の改善、地域社会の発展に貢献している農業経営者等を表彰す
るものである。

 現在の飼養規模は18万羽。年4回転で合計72万羽を出荷しており、鶏舎規模は
各2,000平方メートル、6棟である。

 県農業試験場で果樹を担当していた原さんだが、終戦後、すべてにおいてアメ
リカの影響が強くなっていく状況下に、肉食の時代の到来を予感し、昭和29年に
600羽で養鶏業を開始した。その後順調に経営は発展し、一時は年間出荷額が5
億円を超える規模となったが、46年以降に入ると輸入鶏肉の圧力が強まってきた。

 ちょうどその頃アメリカの養鶏を視察する機会を得た原さんがショックだった
のは、体育館のような鶏舎での飼養管理。早速、これを採り入れようとしたが、
当時の県内の養鶏は100坪で5,000羽が平均。資金導入のために経営計画書を農林
漁業金融公庫等に持ち込んだが、とてつもない規模に誰もが驚き、20回を超える
見直しを求められた。

 それでも54〜55年にかけて鶏舎の新設を実現し、徹底した合理化と機械化を図
った。その結果、現在では4人の従事者で年平均18万羽を管理する省力化を達成
している。

 納入されたひな鶏は52〜55日程度育成され、3キログラム前後で出荷されるが,
その間鶏舎ごとに設けられた管理日誌によってコスト管理を実施している。毎日、
毎月が決算であるという厳格な経営理念が貫かれている。

 畜産経営での大きな話題はふん尿の処理であるが、これに前向きに取り組んで
きたのも東濃ブロイラーセンターの大きな特徴だ。「東濃有機」のブランドで鶏
ふん肥料を販売しているのは珍しくないとしても、ユニークなのは鶏ふんを燃料
として利用していること。

 温水がパイプを通して全鶏舎に送られるフロアヒーティングが完備されており、
有機肥料の売り上げもさることながら、暖房用の燃料費節減の効果は経営収支に
大きく貢献している。

 知的障害者の作業療法の一助にと、これまでに100人を超える患者を地域の精
神医療施設から受け入れてもきた。

 安くて、安全はいうまでもないが、原さんが特に強く意識するのはフレッシュ
なブロイラーの供給である。

 国際競争の激化が避けられない将来、後継者となる3人の息子さんたちに望む
のは技術力と経営力の継承である。そのためには親子間の甘えを排除することが
必要であり、やれるうちはまだまだ頑張らなければと意気けんこうだ。
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【鶏ふんを燃料とするボイラーの前で】

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【鶏ふん肥料「東濃有機」の貯蔵所で】

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