◎地域便り


共同たい肥舎、順調に稼働

広島県/仙波 豊三


 平成11年5月に甲奴町たい肥センターの落成式をして1年余りが過ぎた。甲奴町
内には14戸の酪農家が存在するがたい肥舎の整備が遅れており、この際、共同で
たい肥づくりから販売までやろうという7戸が甲奴有機生産利用組合(代表荒川
弘行)を設立した。事業費9,000万円の3分の1を県が、残りの3分の2を町と組合
で負担して建設したものである。

 甲奴町は、人口3,500人足らずの山あいの町で、農業粗生産額(9億5,700万円)
のうち畜産が45.2%を占める。当然ふん尿処理問題は、長年の課題であり、これ
を有効利用して良質な農産物の生産を図ろうと協議を重ねた結果の共同たい肥舎
である。木造ギャングネイルトラス工法(一部アルミ鉄骨)による1,300平方メ
ートルのたい肥舎では、今、次々に製品が仕上りつつある。

 共同たい肥舎へは、個々の農家が牛舎から、それぞれの自家用ダンプ等で生ふ
ん尿を搬入し、水分調整処理をしてたい積室へたい積する。マニュアローダーは
共同施設にあるものを使用する。7戸のうち手空きの者が交替でたい積されたふ
ん尿を月に何回か切返しをする。これを計画的に実施することが重要で、その責
任者を定め、その指示によって進める体制を整えている。

 現在、たい積してたい肥として出荷できるまでに4カ月程度を要し、発酵の良
否を決定する。1つが水分調整である。オガクズを使えば良いが収支が合わない
ため、もみ殻を利用している。もみ殻の場合、原形のままでは水分吸収が悪く、
うまく発酵が進まない。近いうちに、もみ殻の破砕機を導入する予定なので今後
は、もっと良質なたい肥を生産することが可能になると思われる。

 製品は、利用者の要望に応じて2トンダンプ1台分5,000円でほ場まで運び入れ、
希望によってマニュアスプレッダーで散布(2,000円加算)する。水田主体の地
域で、水稲へのたい肥施用の慣行がなく、手をこまねいていては注文が来ない。
町では、利用者に奨励金(10アール当たり2,000円)を交付して後押しをしており、
一度利用した者は、その良さを認め来年も頼むと言ってくれている。これを励み
に、この秋から冬にかけて水田が空いている間に今後、次々と仕上がったたい肥
を散布していこうと組合員は張り切っている。
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【たい肥センターの外観】

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【たい肥センターの中】

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