◎地域便り


社団法人茨城県畜産協会の設立

茨城県/山本 敏弘


 茨城県の畜産は、平坦な地形と首都圏に近いという地理的条件に恵まれ、現在、
粗生産額では全国第5位となっている。しかしながら近年の厳しい畜産情勢の中、
平成2年には約11,500戸あった畜産農家戸数は、12年には約3,700戸まで減少し
ている。

 畜産農家は経営規模の拡大や専業化する中で、自ら生産性の向上、生産コスト
の低減に向けて努力を重ねているが、畜産団体に対するニーズもますます多様化、
高度化しているため畜産指導業務、価格補償業務、家畜衛生業務、検査業務の各
分野においても事業内容や質の向上、業務の迅速化や効率化、運営体制の合理化
が求められている。

 このような情勢から畜産団体にあっても畜産の将来を見据えて農家の期待に応
えうる指導体制、団体運営基盤の強化を図るため、関係4団体(社団法人茨城県
畜産会、社団法人茨城県畜産物価格安定基金協会、社団法人茨城県家畜畜産物衛
生指導協会、社団法人茨城県生乳検査協会)が再編・統合に向けて協議に入り、
12年2月7日に関係4団体の会長・副会長会議において統合への合意に達した。

 12年4月1日には「畜産関係4団体組織再編統合推進協議会」を設置し、具体
的な取り組みに着手、13年3月26日に、茨城県知事立会いのもとで畜産関係4団
体の統合に関する協定書が調印され、13年7月1日に「社団法人茨城県畜産協会」
としてスタートした。

 協会の組織体制は会長、副会長、専務理事を含め理事23名、監事3名の役員、
また事務局は、事務局長、事務局次長以下総務部、畜産指導部、価格安定部、家
畜衛生部、検査部の5部体制で、当面は統合前の団体の業務をそのまま引き継い
だ体制で業務を実施している。

 畜産協会は、統合した4団体の会員をそのまま引き継ぎ、会員数は233で県内
で市町村、農協、乳業者等がおもな構成員となっている。

 13年8月28日、設立記念式典が水戸市内において開かれ、各団体の関係者220
人が出席した。式典には茨城県知事、県議会議長らが来賓として出席し盛会であ
った。

 畜産協会は異なる業務を実施していた4団体が年度途中で統合したため、現在
は暫定的な組織体制となっているが、今後さらに体制の合理化を推進していく予
定である。

 また、電算経理システムによる事務処理体制を構築し、効率的な業務を実施し
ていくとともに畜産情報のデータベース化を進め、情報ネットワークを通じた情
報提供図り、畜産農家の期待に応えられる団体を目指していきたいと考えている。
【設立記念式典会場にて】

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