トピックス

牛肉卸売価格、低下傾向が続く

 牛肉の卸売価格は、12月26日までは徐々に上昇したが、これは例年どおりの年
末の手当てのためであり、高位等級で価格の上昇が顕著であった。しかしながら
前年の12月と比べると大幅に値下がりしており、平成13年12月の東京市場の平均
卸売価格は省令が413円/kg(速報値)で、847円/kg値を下げた。同様に去勢和牛
ではA3で621円、A4で533円値下がり、A5で376円値を下げた。対前年同月比で
見ても、高位等級で減少率が小さくなっている(図1、2)。

 全国成牛と畜頭数についても、10月の前年比が36%、11月が80%、12月が63%
と出荷繰延の影響がまだまだ続いている(図3)。12月までの累計でも82.1%で
単純に前年累計から引くと79,890頭となりまだ約8万頭のと畜滞留がいると推測
される。

 また、事業団が実施している牛肉在庫緊急保管対策事業で、10月17日以前にと
畜された牛肉を市場隔離したもの12,626トンについては、焼却処分されることと
なった。
◇図1:牛肉の卸売価格(東京、大阪、省令)◇
◇図2:去勢和牛の卸売価格(A−5、A−4、A−3、省令、東京、前年比)◇
◇図3:全国と畜頭数の前年比(12年、13年)◇


豚肉卸売価格、年末需要で再び急騰

 この年末年始の豚肉卸売価格は、BSE発生による牛肉の消費不振からの代替
需要もあり、10月上旬に次いで再び急騰した。調整保管を実施していた11年度、
12年度(11年12月〜12年2月、12年10月〜13年1月)とは、対照的な相場とな
った。

 東京食肉市場の省令卸売価格を見ると、12月上旬は引き続き500円台で推移し、
年末需要期を迎えた14日から値を上げ、18日〜21日は600円を超えて推移した。
その後、手当も一段落したため27日は542円/kgに下がったが、28日の止市は56
5円/kgと前年より4割高い価格となった。これらにより12月の省令平均価格は
555円/kg(47.6%)と大幅な高値相場となった。

 また、1月7日の初市は、553円/kgとなった。昨年より3割高い価格でのス
タートとなり、高値相場はまだ続きそうである(図4)。
◇図4:豚肉の卸売価格(東京・省令)◇


中国産鶏肉の輸入が不透明

 中国からの鶏肉輸入は、9月には回復しなかったものの、10月24,763トン(23
.3%)、11月29,231トン(32.8%)と大幅に増加した。

 しかし一方で、11月4日、中国産の鶏肉からニューカッスル病ウイルスが分離
されたことから、農林水産省は出荷農場およびその周囲50キロメートル以内の地
域からの家きん肉等のわが国への輸出を停止し、また、12月27日に山東省および
上海市の食鳥処理場で生産された鶏肉からニューカッスル病ウイルスが確認され
たことから、同様の措置を講じた。

 また、厚生労働省は12月12日、中華人民共和国の駐日本国大使館に対し「わが
国の食品衛生法の食品の規格基準において抗菌剤であるスルファノキサリンおよ
びクロピドールを含有してはならないと定められている。しかしながら、貴国か
ら輸出された鶏肉において残留が多数認められることから、これらの加工業者か
らのわが国への輸出を中止するようお願いする」と申し入れた。

 以上のように中国産鶏肉については、衛生問題が次々と発生しているが、対日
輸出の有力農場・工場がこれらの輸出停止および中止を要請された対象となって
いることも考えられるため、今後の中国からの輸入は不透明な状態である。

 BSE発生による牛肉の消費不振から、代替需要による鶏肉の需要は強く、12月
平均価格は国産むね肉(東京)331円、国産もも肉(東京)752円、中国産もも肉
520円と高値で推移している。
(図5、6)
◇図5:鶏肉の国別輸入量の推移◇
◇図6:国産・輸入鶏肉卸売価格◇


12年次の食肉消費構成割合について

 農林水産省食肉鶏卵課は、13年12月19日に12年次の食肉消費構成割合を発表し
た。食肉における過去5年ごとの消費構成割合と比較して見ると、12年における
牛肉の「家計消費」に占める割合は37%と減少傾向にある。その一方で牛肉の輸
入自由化や外食産業の進展を背景に業務用、外食等に仕向けられる「その他」が
54%と伸びている。

 豚肉は「家計消費」に占める割合が4割と食肉の中で最も高い。また、ハム・
ソーセージ等の調整品へ仕向けられる「加工仕向」は3割、「その他」が3割と
この割合は過去10年ほぼ一定している。 

 鶏肉は「その他」が依然として消費の6割を占めている。これは低価格である
ことや比較的手当しやすいこと等から業務用、外食用以外にも調理食品や弁当の
材料として多く使われているためである(図7)。
◇図7:食肉の消費構成割合の推移◇


「白もの牛乳」の味は約7割の人が「おいしい」と評価

  社団法人全国牛乳普及協会は、「2001牛乳乳製品の消費動向に関する調査」を
このほど取りまとめた。この調査は、「白もの牛乳類」(牛乳の他、低脂肪乳、
無脂肪乳、機能強化牛乳(カルシウム、鉄分、ビタミンDなどを加えたもの)を
含む。以下「牛乳類」。)の飲用実態、購入実態および乳製品の消費動向等に関
し、2001年5月下旬〜6月上旬にかけて、13歳以上の男女個人6,000人を対象に
実施されたもので、有効回答は4,778人(79.6%)であった。


1人1日当たり消費量は減少傾向
 
 牛乳類の1人1日当たり消費量(推定)は、1994年度の119mlをピークにその
後停滞傾向となり、2000年度は109mlで、ここ数年減少傾向にある。また、性別
では男性107ml、女性111mlと女性の方が多くなっている(図8)。この消費量
については、白もの牛乳類の生産量(牛乳・加工乳・乳飲料の合計)を推計して
総人口で除す方法で推計している。

 
「コーヒー・紅茶など他のものと混ぜて飲む」が増加
 
 白もの牛乳類の飲み方として「そのまま飲む」が圧倒的に多くなっているが、
「コーヒー・紅茶・ココアなど他のものと混ぜて飲む」飲み方が総飲用数の中で
1996年16%、2001年21%と5%増加した。

 男性と比べて女性に「コーヒー・紅茶・ココアなど他のものと混ぜて飲む」飲
み方が多くみられる。この「他のものと混ぜて飲む」は男女ともに5年前と比べ
多くなっている。(図9)。


「白もの牛乳はおいしい」は66%

 牛乳類・乳製品とそれ以外の12種類(コーヒー、紅茶、日本茶、中国茶、ミネ
ラルウォ―ター、ニアウォ―ター、炭酸飲料、果物のジュース、野菜ジュース)
の飲み物について、それぞれの好感度とイメージを聞いたところ、「おいしい」
と思うか「おいしくない」と思うかの問いに、「白もの牛乳類」は44%が「おい
しい」、22%が「どちらかといえばおいしい」と約7割の回答者が「おいしい」
と答えている。「おいしくない」「どちらかといえばおいしくない」と答えた回
答者は11%に過ぎない。

 全体では、「日本茶」「コーヒー」についでおいしさ評価は高くなっている。
(図10)。
◇図8:1人1日当たりの消費量の変化◇
◇図9:白もの牛乳類の飲み方(%)[飲料量い占める割合]◇
◇図10:牛乳・乳製品と他の飲み物(%)◇
 

鶏卵の止市・初市、安値価格となる

 平成13年の鶏卵取引は、12月27日で止市となった。最近の鶏卵卸売価格(東京
・全農M)を見ると、ひなえ付け羽数の増加や需要の低迷で卸売価格は、前年同
月を下回って推移している。11月中旬から12月上旬にかけて値を上げたが、12月
4日以降は210円/kgで推移して止市を迎え、止市価格は210円/kg(▲6.7%)
と例年にない安値となった(図11)。13年の年平均は、167円/kg(▲11.5%)
と2年連続で前年を下回った。

 また、14年1月5日の初市価格は、前年の止市価格より85円値を下げた125円/
kg(▲10.7%)とこちらも例年にない安値となった(表1)。

 13年2月28日に開催された全国鶏卵需給調整協議会では、ひなえ付け羽数の増
加傾向に歯止めをかけるべく都道府県保留枠の配分や鶏舎増設の凍結などの緊急
措置を13年度末まで再延長した。しかし、ひなえ付け羽数は前年同月をおおむね
上回って推移し、4月〜11月までの累計では1.2%増加している。

◇図11:鶏卵卸売価格の推移(東京・M)◇



表1 鶏卵の初市価格と止市価格(全農・東京M)

 資料:農水省「鶏卵市況情報」
 

平成14年1〜3月期配合飼料価格、引き上げ

 全農は、平成14年1〜3月期配合飼料供給価格を全国全畜種総平均トン当たり
約700円の値上げを決定した(12/21)。専門農協系および商系もそれぞれ引き
上げた。

<最近の原料コスト動向等>

@ とうもろこしのシカゴ相場は、2002年8月の期末在庫率の減少やアルゼンチ
 ンでの作付時の天候不順による来春の生産量減少を見込んでおり、これらが価
 格上昇要因とも考えられるが、米国の経済減速懸念への関心が特に強くおおむ
 ね現行水準での相場展開が予測されている。

A 副原料の大豆かす価格は、シカゴ相場は値下がり傾向で推移している。BS
 Eの発生で肉骨粉からの代替需要は中国産大豆かすが緊急輸入された。

B 魚粉価格は、需給のひっ迫から上昇を見込んでいる。

C 為替レートは、円安傾向が続いているが今後も同様に推移するものと見込ま
 れる。

<補てんの実施>

 配合飼料価格安定制度による通常基金補てん金は、BSE問題による牛生産者
の経営悪化に考慮して、特例措置として800円上乗せされることにより2,150円/
トンが交付される。
◇図12:副原料の輸入価格(CIF)◇

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