◎地域便り


山梨県 ●消費者から期待される・・豆腐粕(おから)を利用した鶏卵生産

山梨県/松下  浩一


 以前から「豆腐粕は養鶏用の飼料としては利用しにくい」と言われていた。

 それは、一般に豆腐粕の水分含量が高いため、腐敗が早く、肉牛や養豚では利用できても、自動給餌機をつかう養鶏では目詰まりを起こす、かといって機械あるいは天日乾燥させて利用するには、労力や生産コストがかかりすぎること等から、飼料原料としての魅力はあるものの、養鶏に利用するには問題が多かったためである。

 しかし、食品リサイクル法の施行に伴って、豆腐粕の家畜飼料原料化の動きが加速し、本県における養鶏農家からもコスト削減・品質改善の面から有効利用を求める声が多くなってきた。

 「やまなしおから飼料化会議」は平成13年12月に地域生協の呼びかけにより、消費者、採卵鶏農家、豆腐製造業者を中心に豆腐粕の養鶏用飼料化を目的に組織された。より具体的・効率的な飼育管理法を確立するため、そこに県の畜産試験場が加わり採卵鶏への豆腐粕給与試験を実施しデータの蓄積と最適給与法の実証を行う、いわゆる産官共同で、現在効率的な飼料化に向けてお互い意見を出し合い研究を推進しているところである。

 その結果、最も問題となる乾燥作業について、豆腐粕と生米ぬかを一定の割合に配合し、そこに山梨県内の鶏卵農家に普及している種菌を加え、好気性発酵させることで、豆腐粕は水分含量が約20%程度となった(これを発酵豆腐粕と呼んでいる)。市販飼料あるいは自家配合飼料に10〜15%添加しても、自動給餌機での目詰まりなどの問題もなく採卵鶏用飼料として充分利用できることがわかった。

 そこで、今後、畜産試験場では、発酵豆腐粕飼料の有利性を確認するために、発酵豆腐粕給与試験を実施し、卵質や産卵性への具体的な影響を調査するとともに、一部生産農家ではより規模の大きいフィールド実証を行い、それら結果を基に発酵豆腐粕の生産現場への幅広い利用を推進したいと考えている。

 一方、同会議ではリサイクル飼料への関心を高めてもらうために、消費者との懇談会を定期的に開催するとともに飼育現場見学会なども開催し、発酵豆腐粕および鶏卵についての理解を深めてもらうように努めている。これにより、鶏卵の消費拡大を図るとともに、消費者のニーズに対応した生産体制の強化、さらに生産者の顔の見える鶏卵流通のさらなる推進がなされると思われる。

 現在、発酵豆腐粕の製造は各個人で行っているが、今後は、農家組織による発酵豆腐粕製造施設の整備を行うことで、本県養鶏産業における循環型農業の推進が図られ、その結果、同業種のみならず、異業種交流も盛んになることを期待している。


 
市販配合飼料に10〜15%程度
発酵豆腐粕を添加し、自家配合した飼料
消費者を交えた、リサイクル飼料を利用した
飼育現場での懇談会




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