★ 機構から


平成15年度牛乳等の小売価格および牛乳・乳製品等の
消費動向調査から

調査情報部



 当機構では、牛乳・乳製品等の消費動向を的確に把握するため、社団法人食品需給研究センターに委託して「牛乳等の小売価格および牛乳・乳製品の消費動向調査」を毎年実施している。ここでは、15年度に実施した調査の中から、牛乳類についての結果の概要を紹介する。なお、調査の目的および方法については、文末に記載しているのでご参照願いたい。

牛乳類の購買行動

牛乳類の購買の選定基準

 消費者は牛乳類の購入意志決定においてどのようなことを選定基準としているのか調査した。

 牛乳類を購入する際の選定基準については、「おいしさ・味」が62.6%(前年57.3%)で最も高く、次いで「鮮度」が61.8%(前年67.1%)、「価格」が56.6%(前年51.4%)、「安全性」が47.0%(前年47.9%)となっており、この上位4つが重要な選定基準といえる。以下、「乳脂肪の濃度」、「健康強化機能」、「ブランド」、「殺菌方法」、「自然志向」、「容器容量」、「その他」の順となっている(図1)。前年度と比べると「おいしさ・味」が「鮮度」を逆転している。

図 1  牛乳類の選定基準



メーカー類型とその選択

 牛乳類を製造するメーカーは、大手乳業メーカーから個々の牧場までさまざまである。消費者はこれらメーカー類型の選択についてどのように考えているかを調査した。

 「大手・中堅乳業」が36.2%(前年47.7%)で最も高く、次いで、「特にこだわらない」が30.2%(前年37.5%)、「中小乳業」が24.7%(前年28.6%)、以下、「スーパー等のPB」、「近隣の農協」、「特定の牧場」、「地元以外の農協」の順となった。

 メーカー類型は、ブランドとほぼ同様な概念であり、消費者の選択は大手・中堅、中小、生産者、こだわらないの4つに分散しており、中小零細メーカーに対する支持も少なくないという結果となった。

図 2  牛乳類のメーカー等の選択行動



産地類型とその選択

 牛乳類の産地・生産者は、北海道をはじめ個々の牧場までさまざまである。消費者はこれらの選択についてどのように考えているかについて調査した。

 「特にこだわらない」が45.3%(前年46.0%)と最も高く、次いで、「地元」が31.1%(前年23.2%)、「北海道」が20.7%(前年31.2%)となっており、以下、「特定の牧場」、「わからない」、「その他の産地」となっている。前年と比較して「地元」が増加し、「北海道」が減少している。消費者が産地にこだわらないのは半数以下にとどまっており、産地・生産者に対するこだわりが半数以上を占めていることがうかがえる。

図 3  牛乳類の産地等の選択行動


牛乳類の価値(他の飲料・食品との比較)

 牛乳類がすぐれているのは「健康強化機能」が83.5%(前年81.5%)で最も高く、次いで「バランスのとれた栄養価」が77.9%(前年82.2%)、「おいしさ・味」が34.2%(前年34.4%)、「入手しやすさ」が33.3%(前年33.5%)、以下、「価格」、「鮮度」、「自然志向」、「美容」の順となっている。

 牛乳類の価値について重み付けをするために上位3つの順位別回答をみると、第1位にあげられたのは「健康強化機能」が52.4%(前年50.3%)、「バランスのとれた栄養価」が32.0%(前年36.6%)、第2位にあげられたのは「バランスのとれた栄養価」が37.2%(前年37.1%)、「健康強化機能」が25.4%(前年25.7%)となっている。このように、消費者が牛乳に求めている価値は、健康と栄養が最も大きいことがわかる。

図 4  牛乳類の価値(他の飲料・食品との比較)



牛乳の特売における購入状況

 牛乳の特売における購入状況については「特売商品をたまに買う」が45.9%で最も高く、次いで、「特売商品をよく買う」が30.0%、「特売商品はほとんど買わない」が24.1%となっている。特売商品を購入している者が4分の3となっており、依然特売の主要品目となっていることがうかがえる。

 世帯構成類型別についてみると、子供がいない世帯(高齢者のみの世帯含む)では「特売商品はあまり関心がない」「特売商品は買わない」が高くなっている。小さい子供がいる世帯ほど、「特売商品をよく買う」が高い傾向がみられる。また、子供がいない世帯では「特売商品はほとんど買わない」が高い。

 回答者の年齢別についてみると、高齢層ほど「特売商品はあまり関心がない」、「特売商品は買わない」が高いが、若年層ほど「特売品をよく買う」が高い傾向がみられる。

 ユーザータイプ(世帯別にみた購入量区分)別についてみると、購入量が多い世帯では「特売商品をよく買う」が高く、逆に購入量が少ない世帯ほど「特売商品はほとんど買わない」が高い傾向がみられる。

図 5  牛乳の特売における購買行動



牛乳の特売方法と購買行動(割合)

 特売の方法は多様であるが、ここでは特売方法を類型化し、これらの購買行動について調査した。

 「170円台〜190円台の商品が通常より1割以上安い場合」が51.4%で最も高く、次いで、「200円以上のブランド商品が通常より安い場合」が31.6%、「特売商品はあまり関心がない」が16.8%、「割引シールが貼ってある商品」が15.3%、「特売商品は買わない」が12.0%となっている。「特売商品は関心がない、買わない」と「大幅な値引き(シール)商品を買う」の両極の割合は両者ともに15%前後で同程度となっている。

図 6  牛乳の特売方法と購買行動(割合)



牛乳類の用途

 牛乳類の用途は「そのまま飲用」が96.9%(前年97.4%)で最も高く、次いで「料理用」が77.7%(前年85.4%)、「他の飲料とミックス」が66.2%(前年68.2%)、「ケーキ・お菓子用」が47.1%(前年37.2%)、「シリアル用」が42.1%(前年44.0%)、「ペットの飲用」の順となっている。そのまま飲用が圧倒的に多いが、その他の用途も少なくないことがわかる。

 世帯構成類型別についてみると、特に子供がいる世帯では「ケーキ・お菓子用」が比較的高い傾向がみられる。年齢別についてみると、年齢が低くなるほど「ケーキ・お菓子用」が比較的高い傾向がみられる。

図 7  牛乳類の用途



牛乳類の消費機会

 牛乳類の消費機会は、「パン食時の朝食」が72.6%(前年72.4%)で最も高く、次いで「のどがかわいたとき」が58.3%(前年60.1%)、「おやつ」が46.7%(前年44.0%)、「寝る前に」が26.5%(前年30.0%)、以下「パン食以外の朝食」、「昼食時」、「空腹時」、「スポーツ・運動後」、「疲れた時」「夕食時」の順となった。

 このように、牛乳類を飲用するのは、「パン食時の朝食」と「のどがかわいた時」の2つが特に多く習慣化していることがうかがえる。また、おやつ、寝る前に、空腹、疲れた時、スポーツ・運動の後などきわめて多様であることがわかる。世帯構成類型別についてみると、特に子供がいる世帯では「パン食時の朝食」、「おやつ」「夕食時」が比較的高い傾向がみられる。また、子供がいない世帯(高齢者のみの世帯含む)では「疲れた時」が比較的高い傾向がみられる。

図 8  牛乳類の消費機会



牛乳類の購入価格

牛乳の価格帯別購入本数構成

 牛乳の価格帯別にみた購入本数構成比を6月を図9−1に12月を図9−2に示した。6月についてみると、「201〜210円」の価格帯の割合が21.4%(12月20.4%)と最も高く、次いで「181〜190円」の価格帯が15.1%(同15.8%)、「171〜180円」が12.9%(同12.1%)、「151〜160円」の価格帯が11.7%(同12.0%)、「191〜200円」が11.7%(同10.3%)、「161〜170円」が9.0%(同11.3%)となっており、これら181〜210円の範囲において全体の48.2%(同46.5%)を占めている。6月と12月を比較して変化はみられなかった。

図 9 - 1  牛乳1,000mlの購入価格帯構成「6月」

 

 

図 9 - 2  牛乳1,000mlの購入価格帯構成「12月」



購入先別購入価格(1000ミリリットル牛乳)

 6月調査についてみると、「家庭配達」が229.5円(12月調査230.3円)で最も高く、次いで「CVS」が202.2円(同200.8円)、「集団購入」が197.7円(同195.1%)、「量販店」が185.4円(同185.1円)となっており、購入先の業態により価格差が大きいことがわかる。「家庭配達」は他の業態と異なる付加価値の高い宅配専用商品が主体であり、他の購入先と比べてかなり高い。また、6月調査と12月調査では差異はみられない。

 過去10年間の平均価格の推移をみると、平成13年までは低下で推移したが、表示の見直しや新製品の投入などから14年は下げ止まり、15年は上昇に転じた。

図10 1,000ml牛乳の購入先別購入価格の推移
注:平成14年までは年平均の数値である。



乳業メーカー類型別購入価格

 乳業メーカーを「大手乳業」「中小乳業」「農協系」「PB(プライベートブランド)等」の4つに分類した乳業メーカー類型別にみた購入価格について調査した。

 6月調査についてみると、「大手乳業」が196.7円(12月調査199.2円)で最も高く、次いで、「農協系」が190.2円(同187.8円)、「PB等」が187.1円(同184.8円)、「中小乳業」が182.0円(同181.2円)となっている。12月は、季節的な要因から大手乳業以外で低下している。「大手乳業」は付加価値の高い新商品のシェアが寄与している。

図11 1,000ml牛乳の乳業メーカー類型別購入価格の推移
注:平成14年度までは年平均の数値である。


牛乳類の今後の課題

牛乳類の安心・安全を確保するための選択基準

 消費者は牛乳類について、どのような特徴から安心・安全の信頼を確保しているのか調査した。

 牛乳類の安心・安全を確保するための選択基準は「できるだけ鮮度がよいもの」が70.2%で最も高く、次いで、「特定の購入先のもの」が42.5%、「牛乳パックの表示内容で判断」が32.9%、「生産者・産地が明らかなもの」が27.9%、「特定のメーカーのもの」が22.8%、「特定の生産者のもの」が17.4%、「特定のブランドのもの」が10.2%、以下、「特定の産地のもの」、「牛の飼料飼育方法が明らかなもの」、「特になし」、「価格が高いもの」、「その他」の順となっている。このことから、特に、鮮度は購買の重要な選定基準となっていることがわかる。また、消費者にとって、特定の購入先、生産者・産地が明らかなもの、特定のメーカー、ブランド、飼料・飼育方法が明らかなものなどが安心・安全を確保するための選択基準になっている。

図12 牛乳類の安心・安全を確保するための選択基準



牛乳類の今後の消費見通し

牛乳の今後の消費見通しについてみると、「変わらない」が80.1%を占め、「増やす」が18.8%、「減らす」が1.1%となっている。「減らす」は極めて少ない。

世帯構成類型別にみると、小さい子供がいる世帯ほど「増やす」が高くなっている。逆に子供がいない世帯では「増やす」がやや低い。回答者の年齢別にみると、20代、30代では「増やす」が比較的高くなっている。

牛乳以外でも、ほぼ同様の傾向を示しているが、加工乳(低脂肪加工乳および濃厚加工乳)については、「減らす」が比較的高くなっている。なお、無脂肪加工乳の「増やす」が特に高くなっているが、回答数がやや少ないのでご留意いただきたい。

図13 牛乳類の今後の消費見通し





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