トピックス

●●●牛肉の小売価格、高水準続く●●●

 牛肉の全国の小売価格(機構調べ)は、米国BSE発生に伴う牛肉輸入一時停止措置の影響により、全体的に高値が続いている。

 特に、米国産に依存度の高かった「ばら」の2月の小売価格(通常価格・消費税抜き)は、国産和牛が574円/100グラム(前年同月比8.1%)、国産その他では389円/100グラム(同15.8%)となり、依然高水準で推移している。(図1)

図1 全国の小売価格(ばら)
資料:農畜産業振興機構

 また、15年の平均小売価格との比較でみると、「ばら」以外の部位は5〜10%程度の上昇であるのに対し、「ばら」は20〜30%と大幅に上昇している。米国BSE発生後の16年1月以降の「ばら」の小売価格の値上がり幅は大きく、輸入量が大幅に増加し、価格も上昇している豪州産だけでなく国産ものにも大きな影響を与えている。
(図2)

 「ばら」は、スライスや切り落とし商材として多く使用されており、15年の米国からの輸入量のうち約7割を占めるほど米国産への依存度が高かった。これは、米国産「ばら」が、ほかの部位と比較して、安価に大量仕入が可能だったことから、焼肉店、牛丼チェーン店をはじめとした外食産業や業務部門で広く用いられてきたことによるものである。

 しかし、米国産の輸入一時停止措置により、輸入量が大きく減少したことから、代替品としての国産「ばら」の需要が高まり、ほかの部位よりも大幅な値上がりになったとみられる。

図2 牛肉の小売価格増減率(国産その他)
資料:農畜産業振興機構

●●●16年の食肉加工品の生産量は、9年ぶりの増加●●●

 日本ハム・ソーセージ工業協同組合によると16年のハム、ソーセージなどの食肉加工品の生産量は、前年比2.7%増の50万トンとなった。ハム・ソーセージ類の生産量は、平成7年の55万トンをピークに毎年1〜2%程度減少を続けていたが、9年ぶりに増加に転じた。なお、ここ数年間でみると種類別シェアに大きな動きは見られないが、16年のハムの生産量シェアが12年の24%から22%に減少し、ソーセージにつ いては56%から57%に増加している。

 加工量の原料となる豚肉の使用量も、16年は42万トンと前年を4.6%上回った。その内訳をみると国産品8万トン、輸入品34万トンとなり、それぞれ前年を2.4%、5.2%上回っており、国産品のシェアは年々減少している。その要因としては、(1)原材料として必要な下級部位が比較的安価で大量に購入できること、(2)規格(形状、脂肪の厚さ、赤身率、衛生条件)が統一されており、原材料として使い易いことなどが挙げられる。

図3 年次別食肉加工品生産数量
 
図4 豚肉の加工品仕向肉量の推移
 
資料:日本ハム・ソーセージ工業協同組合調べ   資料:日本ハム・ソーセージ工業協同組合調べ

●●●17年度のブロイラー需要量は、0.6%増加の見通し●●●

 農林水産省生産局畜産部食肉鶏卵課は3月10日、全国ブロイラー需給調整会議を開催し、17年度の需給見通しなどを報告した。これによると、17年度見通し(試算)の需要量については、家計消費量および加工業務用ともに前年度を0.6%上回るものと見込んでいる。

 素ひな出荷羽数より推計した生産量は、前年度を1.3%上回り、また、輸入量は過去5年のトレンドなどを勘案し4.6%上回ると見込んでおり、供給量全体では、前年度を2.1%上回るものと試算している。

 また、鶏肉調製品を含めた正肉換算ベースの見通しによると、前年度に対し需要量は2.3%、供給量は3.8%上回るものと推計しており、年々輸入量が増加している鶏肉調製品の拡大が予想されている。

 このような輸入鶏肉調製品の増加予測については、中国、タイの日本向け家きん肉などの加熱処理施設が新規に指定を受けていることでも裏付けられ、食の外部化・サービス化の進展で、さらに需要量の増加が見込まれている。

表1 平成17年度需給見通し
 
表2 (参考)正肉ベース換算 平成17年度需給見通し
(単位:千トン)
 
(単位:千トン)
 
    資料:全国ブロイラー需給調整会議資料

●●●17年1月の脱脂粉乳の推定期末在庫量、2カ月連続で下回る●●●

 17年1月の脱脂粉乳の推定期末在庫量は、86.4千トン(▲3.1%)となり、16年12月以降2カ月連続で前年同月を下回った。

 これは、生乳の計画生産や、北海道の生産者団体と乳業者が協力して実施している輸入粉乳調製品から国産脱脂粉乳への代替利用、国産脱脂粉乳の飼料への転用促進など脱脂粉乳の過剰在庫の解消への取り組み(2万トン対策)などによる需要増などが要因として挙げられる。

 しかし、脱脂粉乳の過剰在庫は依然解消されていないことから、2005年度も引き続き2万トン対策を行うとともに、中央酪農会議が脱脂粉乳5千トンの在庫削減対策を実施することとしている。(図5)

図5 脱脂粉乳の推定期末在庫

●●●16年の鶏卵生産量、前年比2.3%減少●●●

 農林水産省「鶏卵流通統計」によると16年(1〜12月)の鶏卵生産量は、2,472,912トン(▲2.3%)となった。(図6)

 近年、鶏卵生産量は、ほぼ横ばいで推移してきたが、16年は、鳥インフルエンザの発生に加え、前年の卵価(15年度の平均卵価139円/kg:東京・M)が低水準であった影響で、生産が抑制されたことなどにより減少した。

 鶏卵は、消費量の95%を国内で自給しているため、国内生産量のわずかな変動が大幅な価格変動につながることとなる。鶏卵の生産量と卸売価格は、負の相関があり、1%相当の生産量の増加が、5.5%程度の卸売価格の低下につながるとの分析結果もある。

 現に16年1〜12月(東京・M)の単純平均卸売価格は173円/kgとなっており、昨年を14.6%上回っている。しかし、この水準は、ほぼ14年の平均(172円/kg)と同水準となっている。

図6 鶏卵生産量の推移
資料:鶏卵流通統計

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