★ 機構から


主要乳製品の流通実態調査について 

酪農乳業部


 当機構では、主要乳製品の流通・消費の実態を把握するために、社団法人食品需給研究センターに委託して、「主要乳製品の流通実態調査」を毎年度実施している。
 本調査は、乳製品の供給者である乳業メーカーをはじめ需要者である食品製造業、外食業やホテルなどを対象とし、生産された乳製品の仕向先や需用者の用途の実態について調査しているものである。
 今年度の調査結果では、バターおよび脱脂粉乳の業務別・用途別消費動向については前年度までの調査結果と同様の傾向であった。すなわち、工場で生産された乳製品の仕向先としては、バターでは「製菓・製パン」「小売業」「乳業(バターを生産している)」への仕向けが多く(71.8%)、脱脂粉乳は「乳業(脱脂粉乳を生産している)」「乳業(脱脂粉乳を生産していない)・アイスクリーム」「はっ酵乳乳酸菌飲料」への仕向けが多く(71.2%)なっている。また、バター・脱脂粉乳を原料として製造される製品を用途別にみるとバターでは「小売用」「菓子・デザート類」「パン類」が多く(57.1%)、脱脂粉乳では「はっ酵乳乳酸菌飲料」「乳飲料」「飲料」が多く(58.8%)なっている。
 以下に、16年度調査(平成15年度生産実績)のうち、主要乳製品であるバターと脱脂粉乳の調査結果の概要を紹介する。

バター

業種別消費量(推計)

 平成15年度における国内のバターの推定消費量を89,000トン(農畜産業振興機構(以下「機構」とする。)調べの推定出回り量)とし、その業種別の消費量推計を行った結果は次のとおりである。
 バターの流通経路と業種別消費量(推計)を図1と表1に示した。

図1 バターの流通ルート(平成15年度推計)

表1 バターの業種別消費量(15年度推計)


 乳業メーカーのバターの推定供給量は89,000トンでうち、社内消費仕向が15.6%、社外販売が84.4%となっている。社外販売量75,100トンのうち、需要者に直接販売されるのは10,000トン(全体の11.2%)にすぎず、一次卸売が64,400トン(72.4%)を占める。なお、二次卸売を経由するのは31,100トン(34.9%)となっている。一次卸とは主に大手乳業系列の販社、乳製品卸、大手食品卸である。
 業種別消費量についてみると、「製菓・製パン」が26,400トン(全体の29.7%)で最も多く、次いで「小売業」が23,600トン(26.5%)、「乳業(バターを生産している)」が13,900トン(15.6%)、「外食・ホテル」が11,100トン(12.5%)、「加工油脂」が4,700トン(5.3%)、「乳業(バターを生産していない)・アイスクリーム」が4,300トン(4.8%)、「調理食品」が2,800トン(3.1%)、「はっ酵乳乳酸菌飲料」が900トン(1.0%)、「飲料メーカー」が500トン(0.6%)となっている。
 国産バター81, 000トンの内訳は「製菓・製パン」が29.1%で、以下「小売業」が28.6%、「乳業」が14.1%、「外食・ホテル」が13.1%、「加工油脂」が5.3%となっている。また輸入バター8,000トンの内訳は「製菓・製パン」が35.0%、「乳業」が31.3%を占め、以下「乳業・アイスクリーム」が13.8%となっている。
 平成11年度からの業種別消費量の推計値の推移を図2に示した。

図2 バターの業種別消費量の推移

 消費量合計の推移をみると、11年度および12年度においては83,000トン台であったのが13年度には90,000トン台を超えたものの、14年度および15年度においては89,000トン台で推移している。
 業種別内訳の推移をみると、11年度から15年度にかけて「製菓・製パン」および「小売業」がともに20,000トン台を消費している。次いで「乳業」の社内消費用仕向けが11年度および12年度においては16,000トン台、13年度および14年度においては17,000トン台であったのが、15年度には13,900トンに減少している。一方、「外食・ホテル」では、11年度から14年度にかけて8,000〜9,000トン台で推移していたのが、15年度においては11,100トンに増加している。

用途別消費量(推計)

 バターの推定消費量89,000トンの用途別の消費量を推計してみると、「小売用」が23,600トン(全体の26.5%)で最も多く、次いで「菓子・デザート類」が14,100トン(15.8%)、「パン類」が13,200トン(14.8%)、「外食・ホテル」が11,100トン(12.5%)、「乳飲料」が5,100トン(5.7%)、「マーガリン類」が4,600トン(5.2%)、「はっ酵乳乳酸菌飲料」が4,200トン(4.7%)、「調理食品」が2,800トン(3.1%)、「乳等を主要原料とする食品」が2,600トン(2.9%)、「アイスクリーム類」が2,200トン(2.5%)となっている(図3、表2)。

図3 バターの用途(平成15年度推計)

表2 バターの用途別消費量(15年度推計)

 国産バターの内訳は「小売用」が28.6%、「菓子・デザート類」が15.6%、「パン類」が14.6%、「外食・ホテル」が13.1%、「マーガリン類」が5.3%、「はっ酵乳乳酸菌飲料」が4.2%となっている。輸入バターの内訳は「乳飲料」が25.0%、「菓子・デザート類」が18.7%、「パン類」が17.5%、「はっ酵乳乳酸菌飲料」が10.0%、「外食・ホテル」が6.2%、「小売用」が5.0%となっている。
 平成11年度からの用途別消費量の推計値の推移を図4に示した。

図4 バターの用途別消費量の推移

 用途別内訳の推移をみると、11年度から15年度にかけて「小売用」が22,000〜23,000トン台で最も多くなっている。次いで「菓子・デザート類」が11年度および12年度においては11,000トン台、13年度には15,400トンに増加したが、14年度から15年度にかけては14,000トン台で推移している。また「パン類」は11年度以降、10,000〜13,000トン内で推移しており、15年度は13,200トンで過去5年間では最も多い消費量となっている。
 また新たな用途として、12年度から「乳等主要原料食品」に、14年度から「飲料」に、15年度では「調製粉乳」にそれぞれ消費されている。

国産バターを原料とする乳製品の業種別製造実態

1 乳業メーカー

 国産バターを生産している乳業23社のうち、社内で消費しているのは15社であった。
 用途別消費量(乳製品の製造)についてみると、「乳等を主要原料とした食品」が21.5%で最も多く、次いで「乳飲料」が19.0%、「はっ酵乳」が16.9%、以下「調製粉乳」12.7%、「菓子・デザート類」8.4%、「マーガリン類」6.4%、の順であった(表3)。なお、その他の用途が 7.3%となっているが、その内訳はクリームなどである。

表 3 国産バターの業種別用途内訳

2 アイスクリームメーカー
 回答のあったアイスクリームメーカー8社全てで国産バターを使用している。用途は「アイスクリーム」が多く、次いで「菓子類」、「調理食品」となっている。

3 はっ酵乳乳酸菌飲料メーカー
 回答のあったはっ酵乳乳酸菌飲料メーカー16社のうち、国産バターを使用しているのは3社であった。主な用途は、「はっ酵乳」「その他」「乳酸菌飲料」「アイスクリーム」となっている。

4 加工油脂メーカー
 回答のあった加工油脂メーカー8社のうち、国産バターを使用しているのは6社であった。主な用途は「マーガリン類」「その他」(ホイップクリーム)となっている。

5 製パン業
 回答のあった製パン業12社のうち、国産バターを使用しているのは10社であった。主な用途は「パン類」(98.9%)となっており、食パン、バターロールなどの練り込み用に使用されている。

6 製菓業
 回答のあった製菓業51社のうち、国産バターを使用しているのは43社であった。主な用途は「菓子類」が89.2%を占め、そのほか「アイスクリーム」「パン類」となっている。「菓子類」の内訳はケーキ類、洋菓子、焼き菓子、パイ、クッキー、ビスケット、キャンディなどとなっている。

7 飲料メーカー
 回答のあった飲料メーカー6社のうち、国産バターを使用しているのは2社であった。主な用途は「乳飲料」で、内訳はスープ用となっている。

8 調理食品メーカー
 回答のあった調理食品メーカー10社のうち、国産バターを使用しているのは8社であった。主な用途は「調理食品」で、内訳は冷凍食品(コロッケ類、グラタン、デザートなど)、缶詰などとなっている。

9 外食産業
 回答のあった外食産業23社のうち、国産バターを使用しているのは15社であった。主な用途は「パン用」「調理用」「菓子・デザート類」「その他」となっている。外食では調理用からデザートなどと用途が広い。

10 ホテル
 回答のあったホテル64社のうち、国産バターを使用しているのは63社であった。主な用途は「調理用」が最も多く、次いで「パン用」「菓子・デザート類」となっている。

今後(直近2〜3年)の需要見通し

 供給サイドからみた国産バターの今後の需要見通しは、おおむね横ばいと予測している。一方、需要者の今後の消費見通しについてもおおむね横ばいなっており、「増やす」と予測しているのは製菓、ホテルとなっている。
 供給サイドからみた輸入バターの今後の需要見通しは、横ばいかやや減少と予測している。一方、需要者の今後の消費見通しも横ばいとなっているものの、業種、企業により差違がみられる。「減らす」「やや減らす」の回答があるのは乳業、製菓となっている。


脱脂粉乳

業種別消費量(推計)

 平成15年度における国内の脱脂粉乳の推定消費量を172,400トン(機構調べの推定出回り量)とし、その業種別の消費量推計を行った結果は次のとおりである。
 脱脂粉乳の流通経路と業種別消費量(推計)を図5、表4に示した。

図5 脱脂粉乳の流通ルート(平成15年度推計)

表4 脱脂粉乳の業種別消費量(15年度推計)


 乳業メーカー等の脱脂粉乳の推定供給量は172,400トンで、うち乳業メーカーの社外販売が67.2%、社内消費仕向けが32.8%となっている。社外販売量115,800トンのうち、需要者に直接販売されるのは20,300トン(全体の11.8%)であり、一次卸売が95,500トン(55.4%)となっている。また、二次卸売を経由するのは24,400トン(14.2%)となっている。一次卸売とは主に大手乳業系列販社、乳製品卸、大手食品卸である。
 業種別消費量についてみると、「乳業(脱脂粉乳を生産している)」が 56,600トン(全体の32.8%)で最も多く、次いで「乳業(脱脂粉乳を生産していない)・アイスクリーム」が34,500トン(20.0%)、「はっ酵乳乳酸菌飲料」が31,800トン(18.4%)、「製菓・製パン」が14,800トン(8.6%)、「調理食品」が11,100トン(6.4%)、「加工油脂」が9,400トン(5.5%)、「飲料メーカー」が9,100トン(5.3%)となっている。
 国産脱脂粉乳171,800トンの内訳は「乳業」が32.6%で、以下「乳業・アイスクリーム」が20.1%、「はっ酵乳乳酸菌飲料」が18.5%、「製菓・製パン」8.6%となっている。また、輸入脱脂粉乳600トンは全量「乳業」となっている。
 平成11年度からの業種別消費量の推計値の推移を図6に示した。

図6 脱脂粉乳の業種別消費量の推移

 消費量合計の推移をみると、11年度には216,000トンと200,000トン台を超えていたが、12年度は188,900トンに減少し、13年度から15年度にかけては170,000トン台で推移している。
 業種別内訳の推移をみると、いずれの年度においても「乳業」の社内消費用仕向けが最も多くなっているものの、そのシェアは11年度には50.7%を占めていたのが、12〜13年度にかけては40%台に、14〜15年度にかけては30%台と減少傾向で推移している。一方、「乳業(脱脂粉乳を生産していない)・アイスクリーム」では11年度はわずか17,500トンであったのが、年々増加し15年度には34,500トンになり、そのシェアも20%を占めるに至っている。それに対し、「製菓・製パン」および「飲料メーカー」においては11年度以降どちらかと言うと減少傾向で推移している。

用途別消費量(推計)

 脱脂粉乳の推定消費量172,400トンの用途についてみると、「はっ酵乳乳酸菌飲料」が63,900トン(全体の37.1%)で最も多く、次いで「乳飲料」が25,300トン(14.7%)、「飲料」が12,100トン(7.0%)、「菓子・デザート類」が9,400トン(5.5%)、「パン類」が8,900トン(5.2%)、「加工乳」が8,300トン(4.8%)、「乳等を主要原料とする食品」が7,800トン(4.5%)、「アイスクリーム類」が6,800トン(3.9%)、「マーガリン類」が5,400トン(3.1%)となっている(図7、表5)。

図7 脱脂粉乳の用途(平成15年度推計)

表5 脱脂粉乳の用途別消費量(15年度推計)

 国産脱脂粉乳の内訳は「はっ酵乳乳酸菌飲料」が37.0%、「乳飲料」が14.7%、「飲料」が7.0%となっている。輸入脱脂粉乳の内訳は「はっ酵乳乳酸菌飲料」が50.0%、「加工乳」「乳飲料」および「乳等を主要原料とする食品」がともに16.7%となっている。
 平成11年度からの用途別消費量の推計値の推移を図8に示した。

図8 脱脂粉乳の用途別消費量の推移

 用途別内訳の推移をみると、「はっ酵乳乳酸菌飲料」では11年度から13年度にかけて61,400トンから58,000トンまで減少傾向で推移したが、14年度は59,200トン、15年度は63,900トンと再び増加に転じている。またシェアは11年度以降一貫して増加している。一方、「加工乳」では11年度の49,800トンから15年度の25,300トンにかけて一貫して減少傾向で推移しており、シェアも低下している。
 また、「乳等を主要原料とする食品」に12年度以降消費されているが、消費量としてはぞれほど多くないものの、13〜15年度にかけて着実に増加している。それ以外では、14年度から「外食・ホテル」に、15年度は「調製粉乳」に消費されている。

国産脱脂粉乳を原料とする乳製品の業種別製造実態

1 乳業メーカー
 脱脂粉乳を生産している19社のうち、国産脱脂粉乳を社内消費しているのは17社であった。用途別消費量についてみると、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が36.4%で最も多く、次いで「乳飲料」が26.8%、「乳等主要原料食品」が13.8%となっており、この3つが主な用途となっている(表6)。

表 6 国産脱脂粉乳の業種別用途内訳

2 アイスクリームメーカー
 回答のあったアイスクリームメーカー8社全てが国産脱脂粉乳を使用している。主な用途は「アイスクリーム類」が91.3%となっており、内訳はアイスクリーム、冷凍デザート、氷菓、粉末飲料などとなっている。次いで「飲料」が8.2%となっている。

3 はっ酵乳乳酸菌飲料メーカー

 回答のあったはっ酵乳乳酸菌飲料メーカー17社全てが国産脱脂粉乳を使用している。主な用途は「はっ酵乳」が52.4%、「乳酸菌飲料」が38.4%となっている。

4 加工油脂メーカー
 回答のあった加工油脂メーカー8社全てが国産脱脂粉乳を使用している。用途は「その他」が68.8%で最も多く、その内訳はホイップクリームとなっている。次いで「マーガリン類」が30.6%となっている。

5 製パン業
 回答のあった製パン業12社 のうち、10社が国産脱脂粉乳を使用している。主な用途は「パン類」で練り混み用となっている。


6 製菓業
 回答のあった製菓業51社のうち、国産脱脂粉乳を使用しているのは27社であった。主な用途は「菓子・デザート類」が57.1%、「アイスクリーム類」が38.9%となっている。具体的な内訳はビスケット、クッキー、クラッカー、チョコレート、焼き菓子、アイスクリーム、飲料などとなっている。

7 飲料メーカー
 回答のあった飲料メーカー6社全てが国産脱脂粉乳を使用している。主な用途は「飲料」である。具体的な用途は、缶コーヒーなどの飲料となっている。

8 調理食品メーカー
 回答のあった調理食品メーカー10社のうち、国産脱脂粉乳を使用しているのは8社であった。主な用途は「調理食品」89.6%および「その他」9.2%で、その内訳はクリームコロッケ、冷凍食品など用途は幅広い。

今後(直近2〜3年)の需要見通し

 供給サイドからみた国産脱脂粉乳の今後の需要見通しは、横ばいかやや減少と予測している。一方、需要者の今後の消費見通しはおおむね横ばいだが、はっ酵乳では堅調な見通しとなっている。
 需要者からみた輸入脱脂粉乳の今後の需要見通しは、回答企業により差異があるがおおむね横ばいいと予測している。
 なお、供給者の見通しおよび需用者のコメントは皆無であった。

元のページに戻る