トピックス

●●●米国・カナダ産牛肉等が輸入解禁●●●

 平成15年に米国およびカナダでBSEが発生したことに伴い、米国・カナダ産牛肉の輸入が停止されていたが、食品安全委員会は、12月8日、厚生労働省、農林水産省からの諮問に対し、「米国及びカナダの輸出プログラムにより管理された牛肉・内臓を摂取する場合と、わが国の牛に由来する牛肉・内臓を摂取する場合のリスクの同等性」に係る食品健康影響評価についての答申を出した。これを受け、両省は12月12日に輸入再開を正式に決定した。輸入停止以来約2年ぶりの輸入再開となる。

 答申では、輸出プログラム(全頭からのSRM除去、20カ月齢以下の牛など)の順守を前提に、米国・カナダの牛に由来する牛肉などとわが国の全年齢の牛に由来する牛肉などのリスクの差は非常に小さいとした。また、付帯事項として、両省に対して、(1)米国・カナダが輸出プログラムの順守するよう万全を期すこと、(2)順守状況の検証結果を、同委員会及び国民に対して報告、説明をすること、(3)管理措置の順守が十分ではない場合など、人へのリスクを否定することができない重大な事態となれば、いったん輸入を停止することも必要−を付け加えた。

 輸入停止前の牛肉輸入量の4割近くを占めていた米国産牛肉が2年ぶりに輸入再開されるが、国内において、どのように評価されるか注目されている。


●●●牛肉の枝肉卸売価格、堅調に推移●●●

 平成15年12月の米国のBSE発生に伴う米国産牛肉の輸入一時停止措置により、国産の卸売価格が品薄高となった。これにより、昨年は出荷の早出し傾向がみられ、この影響から今年度は出荷頭数が伸びず、全体的に品薄状態が続いていることなどから、現在も、卸売価格は堅調に推移している。

 また、下位級層の卸売価格の底上げが見られ、特に、交雑種去勢牛や乳用種去勢牛のB2の上昇率が大きく、B3とB2の等級間の価格差が小さくなっている。これは、米国産の競合相手とされているB2が米国産牛肉の輸入一時停止による品薄状態が続き、引き合いが強くなっていることによるものと思われる。

 例年、荷動き、価格ともに落ち着く時期とされている10月の枝肉卸売価格をみても、去勢和牛は、A5が2,436円/キログラム(3.7%)、A4が2,169円/キログラム(4.5%)、交雑種去勢牛は、B3が1,490円/キログラム(3.5%)、B2が1,316円/キログラム(2.3%)となり、全体的に堅調に推移している。また、依然、B3とB2の価格差は小さい状態が続いている。

 11月下旬以降、お歳暮や年末の手当てなどから荷動きが活発になり、年内は、上位級層の一段高となり、下位級層については、落ち着きは取り戻すものの品薄状態が続いていることから大きな下げは見られない、との予想が強まっている。

図1 牛肉の卸売価格(東京・3月移動平均)


 

●●●家計消費ではハムよりソーセージが人気●●●

  総務省の家計消費調査による1世帯当たりのハム・ソーセージの家計消費量の推移を見ると、ソーセージの消費量は昭和61年にハムの消費量を抜き、平成13年頃までは増加傾向にあった。最近では、1世帯1年当たり約5キログラムをベースに推移している。逆に、ハムの消費量は徐々に減少傾向にあり、16年にはソーセージの消費量の6割程度の約3キログラムとなっている。

 また、家計消費金額による、それぞれの単価についてみると、ソーセージは約20年間にわたり100グラム当たり130円〜140円台でほとんど変化していないが、ハムは190円〜240円台で価格差が比較的大きくなっている。

 さらに、16年の家計における購買頻度については、ハム(1,497回/100世帯)、ベーコン(733回/100世帯)などに比べソーセージ(2,022回/100世帯)は高かった。

 このように、ソーセージは値頃感や種類の多さ、新商品の開発などにより家庭における人気が高いものと推察される。

 一方、日本ハム・ソーセージ工業協同組合調べによる9月のソーセージ国内生産量は、24,300トンとなり前年同月を1.8%下回った。1〜9月の累計数量も362,309トンと前年同期を3.6%下回った。これは、原材料となる輸入物のうで、ももなどの部位が不足していることが要因として考えられ、加工原料仕向け量のうち豚肉の輸入物は17年2月以降、前年同月を下回る月が続いている。

 ソーセージの国内生産量が減少傾向にある中、ソーセージの輸入量は増加しており、10月の輸入量(関税率表の分類番号1601.00-000:ソーセージその他これに類する物品及びこれらの物品をもとにした調製食料品)は2,878トンと前年同月を31.0%上回り、1〜10月の累計輸入量は2万7千トンと前年同期を15.8%上回った。

図2 ソーセージの年間家計消費量の推移

 

●●●鶏肉の推定出回り量は世界的な高病原性鳥インフルエンザまん延の中で、回復傾向に推移●●●

 高病原性鳥インフルエンザのまん延は、平成16年1月の東南アジアなどでの発生確認に端を発し、世界各地で続いている。農林水産省によると、高病原性鳥インフルエンザの発生状況は次の図のとおりである。(12月6日現在)

 現在は、オセアニア、南米大陸を除くほとんどの地域で高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されている。また、直近では、カナダで発生が再確認され11月21日全州からの輸入が停止され、その後12月2日に一部の州を除き解除されたが、ジンバブエでは12月6日に新たに発生が確認されている。

高病原性鳥インフルエンザの発生状況

 国内の鶏肉消費量は、79年ぶりに国内で鳥インフルエンザが発生した平成16年1月には鶏肉の買い控えが見られるなどの多少の混乱があったものの、卸売価格は16年4月以降回復傾向で推移した。

 このように世界的に鳥インフルエンザがまん延し、国内でも17年6月以降、茨城、埼玉県下などで弱毒性高病原性鳥インフルエンザの発生確認がされている状況においても、鶏肉の推定出回り量は17年1月以降10カ月連続で前年同月を上回って推移している。(図3)

図3 鶏肉の推定出回り量の推移

 これは、関係者が再三にわたり、鳥インフルエンザに対する正しい知識などについて的確な情報を提供していることが奏功しているものと思われる。


●●●チーズの消費動向●●●

 わが国のチーズの消費量は、食生活の多様化に伴い大幅に増加してきており、10年前(平成7年度)と比較すると、30%も増加している。
その中で、近年の特徴としては、従来、プロセスチーズ(ナチュラルチーズを加熱処理したもの)の消費が多かったが、ナチュラルチーズの直接消費が大幅に増加していることが挙げられる。(図4)

図4 国内チーズの消費量の推移

しかし、欧米諸国と比較すると、わが国の1人当たりの消費量は極めて少ない2.0キログラム/人(16年度)となり、EUの10分の1、米国の7分の1、消費量が多いとされているフランスとでは13分の1となっている。(図5)

図5 チーズの1人1年当たりの消費量

 このことから、まだまだチーズの消費の伸びが期待されているが、チーズの供給量の9割が輸入品となっていることから、これを国産チーズに置き換えることにより、国産チーズの消費を伸ばすため、国産チーズ対策の大幅拡充や、「ALL JAPANナチュラルチーズコンテスト(詳細は本誌「地域便り」に掲載)」の開催など、様々な取り組みが行われている。これにより、今後の国産チーズの消費が増加することが期待される。

 

●●●17年第3四半期の鶏卵生産量、前年同期を下回る●●●

 農林水産省から11月18日に公表された平成17年7月〜9月第3四半期の鶏卵生産量は、7月202,980トン、8月203,593トン、9月203,616トンとなり前年同期の生産量を0.1%下回った。また、1月からの累計生産量でも、前年同期を1%下回った。

 一方、10月の採卵用ひなの出荷羽数は8,518千羽となり、前年同月に比べ1.1%増加した。10月以降の出荷見通しは、11月95%、12月103%、1月94%と短期の生産見込みとしてが生産減となっている。

図6 鶏卵生産量と卸売価格(東京・M)の推移

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