需給動向 海外

◆豪 州◆

2008/09年度当初の生乳生産量はやや回復


◇絵でみる需給動向◇


2008/09年度の生乳生産量は当初2カ月で前年同期比3.6%増とやや増加

 デイリー・オーストラリア(DA)によると2008/09年度(7〜6月)の当初2カ月の生乳生産量は、乳価上昇で酪農家の増産意欲が高まったことなどから、前年同期を3.6%上回る138万7千キロリットルとやや増加した。これを州別に見ると、最大の酪農生産州であるビクトリア(VIC)州が前年同期比3.7%増の92万キロリットル、ニューサウスウェールズ(NSW)州が同1.6%増の17万6千キロリットルなどとなった。昨年度の一戸当たりの乳牛飼養頭数が全国の中で唯一前年度を上回ったタスマニア(TAS)州は、同14.7%増の6万1千キロリットルとかなり大きく増加した。

州別生乳生産量の推移(7月・8月の累計)


初期乳価は、前年度比8〜9%と高い水準

  DAが10月19日に発表した2008年の酪農の現状および見通しに関するレポートによると、2008/09年度の豪州南部における初期生産者乳価は、前年度よりも8〜9%高い水準となった。これは、一定の生乳生産量を確保したい乳業メーカーの思惑と比較的高い乳製品国際価格を反映したものとされる。


2008/09年度生乳生産量は、前年度比1%増の見込み

 しかし、今後の見通しについて、同レポートでは、2008/09年度の生乳生産量は、前年度比1%増の930万キロリットル程度にとどまると見込んでいる。これは、酪農家の増産意欲は強いものの、生乳生産量は晩春の気象条件によるところが大きく、また、依然として不安定な気象条件および干ばつで減少した乳牛頭数により制約を受ける状況にあることによるとしている。

 また、豪州南東部における、最終生産者乳価は、国際乳製品需要が、米国に端を発した金融危機およびインフレの影響により減退する上、中国市場における需要も不透明であることなどから前年度と同水準または5%程度低下すると見ている。

国内市場は引き続き好調も、急激な小売価格の上昇で消費パターンに変化

 同レポートによると、豪州における牛乳・乳製品消費量は、牛乳を中心に引き続き順調としている。2007/08年度は、小売価格の上昇などを反映して牛乳・乳製品販売額が前年度比13%増となった。スーパーマーケットにおける2008年8月までの6カ月間の販売額は、品目別で8〜16%増といずれも前年同期を上回っている。ただし、販売量については、牛乳、バターなどで増加しているものの、チーズや超高温殺菌牛乳で前年同期を下回った。また、消費者が急激な小売価格の上昇に対応して、牛乳の購入をメーカー・ブランドからプライベート・ブランドへ、また、加工乳から普通牛乳へ変更するなど購買パターンに変化が見られる。


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