需給動向 海外

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2007年のEUの豚肉輸出はルーマニア・ブルガリアのEU加盟により大きく減少


◇絵でみる需給動向◇


ルーマニア・ブルガリア分を除けば2007年の輸出量はほぼ前年並み

 欧州統計局(EUROSTAT)によれば、2007年のEUの豚肉(関税番号HS0203のもの)輸出量は、前年比13%減の90万4千トンとかなり大きく減少した。

 ただし、この減少の最大の要因は、2007年1月のルーマニア、ブルガリア(EU2)のEU加盟によるものであり、このEU2への輸出分を除けば、EU域外への輸出量はほぼ前年並みとなっている。

 なお、EUは2007年11月30日、輸出増による域内需給の安定を図るべく約4年ぶりに豚肉の輸出補助金の導入を決定した。この背景には、輸出市場においてドル安・ユーロ高などの影響で、米国、カナダ、ブラジルなどの主要生産国との競争が激化したことがある。


主要輸出相手国への輸出量は減少

 2007年の輸出相手国の第1位は前年に引き続きロシアで、第2位は日本となっている。

 ロシアへの輸出量は、前年比5.6%減の23万3千トンとなった。この主な要因は、ロシアがブラジルでの口蹄疫発生により2006年には同国からの輸入の減少分をデンマークなどからの輸入増により対応したが、その後ブラジルからの輸入量の回復、自国生産の拡大によりEUからの輸入量が減少したためと考えられる。

 第2位の日本への輸出量は、ユーロ高・ドル安が進む中、米国産やカナダ産との競争が激化したことなどから、特にEUにおける主要輸出国であるデンマークからの輸出量が減少したことにより、同5.5%減となった。

 一方、中国(香港を含む)向けは、前年の2倍以上の7万トンと大幅に増加しており、韓国を含めた上位3カ国への輸出が伸び悩む中、EUにとって重要な市場になりつつある。

輸出額ベースでは日本向けが約3分の1を占める

 輸出額で見ると、日本がロシアを上回り最も多い輸出相手国となっている。輸出量シェアが約4分の1に対し、輸出額シェアは約3分の1を占めており、ほかの国向けに比べ単価の高い豚肉を輸出していることが分かる。

 なお、EU2への輸出を除くと、2007年の輸出量はほぼ前年並みである一方、輸出額は19億8,891万ユーロ(3,182億円:1ユーロ=160円)と前年に比べ3.2%減少しており、特に下半期の豚肉価格の低迷が輸出額の減少に影響したものと考えられる。

EUの豚肉輸出量の推移

EUの豚肉輸出額の推移


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