需給動向 海外

◆飼 料◆

世界の飼料向け需要、高値のトウモロコシから割安な小麦に動く


◇絵でみる需給動向◇


小麦生産量が増加したにもかかわらず、需給のひっ迫が価格高を下支え

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS:Grain:World Markets and Trade(2008年9月))によると、世界全体における小麦の生産量、消費量とも2008/09年度は記録的な増加が見込まれ、生産量は、前年度を10.7%上回る6億7,628万トン、消費量は、前年度を5.7%上回る6億5,488万トンとされる。

 EU(27カ国、以下同じ。)、米国、ロシア、カナダ、豪州など主要な小麦生産国・地域では、生産量は二ケタ台の伸び率で、特に豪州は前年度の約7割増が見込まれているが、消費量も伸びを示していることから、EU、米国、カナダ、豪州などの主要な輸出国・地域の期末在庫は、前年度を42.0%上回る3,875万トンと大幅に積み増すものの、過去25年間の平均水準を1,200万トン下回り、依然として低水準である(表1)。

 小麦価格は、3月に更新した史上最高値から右肩下がりで推移しているが、この需給のひっ迫感を背景として、また、南半球での生産量に不透明感があることから、過去5カ年間の平均価格を上回る水準で高止まっている。

 USDAによると、小麦価格は、EU、米国、カナダ、豪州などの期末在庫と逆相関の傾向が見られるとしている。

表1 世界の小麦の需給


世界の飼料向け需要はトウモロコシから割安な小麦に動く

 世界全体における2008/09年度の小麦の飼料向け消費量は、前年度を30.6%上回る1億2,447万トンが見込まれている。2006年に発生した豪州の干ばつ以降、小麦、大麦価格が急騰したため、EUでは、2006/07年度以降これらに代わる穀物飼料として、相対的に割安となるトウモロコシ、ソルガムなどに一部切り替える動きが出ていた。しかし、今年度は世界全体の小麦の作柄が良いことに加え、EU、ウクライナ、ロシアでは、小麦の品質が、降雨などによりダメージを受けたことで、飼料向け用途へ回る低品質の小麦の割合が高まる結果となることもあり、EUの飼料向け消費量は、前年度を24.9%上回る6,600万トンが見込まれている(図)。

 このため、世界全体における2008/09年度の飼料向け小麦貿易量(7月〜翌年6月)は記録的となり、前年度を7.9%上回る1億2,286万トンが見込まれている。小麦の生産増からEU、ウクライナ、ロシアの輸出量は、前年度を61.1%上回る4,100万トンと増加し、韓国やイスラエルなどでは、穀物飼料の原料割合を高値のトウモロコシから割安な小麦に切り替える動きが見られるとしている(表2)。

図 小麦の消費量と輸出量

表2 韓国とイスラエルの飼料向け消費量と輸入量


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