需給動向 海外

◆豪 州◆

DA、2008/09年度の生乳生産量見込みを前年度並みと下方修正


◇絵でみる需給動向◇


2009年2月までの生乳生産量は 前年度比2.4%増

 デイリー・オーストラリア(DA)の公表によると、2008/09年度(2008年7月〜2009年6月)2月までの生乳生産量は前年度比2.1%増の695万4,400キロリットルと前年度を上回る水準で推移している。DAでは2008/09年度の生乳生産量について、高水準の初期生産者乳価を背景として前年度を1%程度上回ると予測していた。しかしながら、2009年3月に公表した酪農の現状および見込み(更新版)によると、2008/09年度生乳生産量は前年度並みの920万キロリットルに下方修正している。これは、大手乳業メーカーが2009年に入り生産者乳価の大幅な引き下げを実施したこと、2009年初頭に高温・乾燥気候に見舞われたことなどが要因であるとしている。

豪州生乳生産量の推移

ビクトリア州北部の生乳生産量は 前年度を下回る水準

 豪州生乳生産量の約3分の2を占めるビクトリア州の生産状況を見ると、2009年2月までの生乳生産量は前年同期比1.8%増の466万9,500キロリットルと前年度を上回っている。しかしながら、同州を地域別に見ると東部および西部でそれぞれ4.3%増、3.2%増と前年度を上回っているのに対して、主にかんがい用水を利用した酪農を行っている北部では同2.5%減と昨年に続き前年度の水準を下回っている。ゴルバン川およびマレー川における最近の水利権に対する配分率は、それぞれ32%、35%と前年度の実績を下回る低水準となっており、依然としてかんがい用水による制約が大きい状況にあるとみられる。

ビクトリア州生乳生産量の推移

酪農家の経営に対する期待感が低下

 DAが2009年2〜3月に1,000件の酪農家を対象に行った調査によると、将来の経営見通しについて良好であると回答した酪農家は、66%と2008年の78%から12ポイント低下した。また、非常に良好であるとの回答は9%と2008年の21%から11ポイント低下しており、酪農家の経営に対する期待感が低下しているとの結果となった。また、酪農家にとって現時点の課題は、生産者乳価であるとの回答が46%で2008年の8%から38ポイントと大幅に上昇した。これに続き気候が18%となっている。

 なお、回答者のうち76%が生産者乳価が引き下げられたとしており、こういった酪農家の多くは借入金の増額および返済繰り延べのほか、飼料費の削減、飼養頭数の削減といった対応をとっている。

生産者乳価をめぐり乳業メーカーと生産者でかけ引き

 豪州大手乳業メーカーのマレー・ゴルバン、フォンテラ、ワーナンブール・チーズ&バター(WCB)などでは、乳製品国際価格の下落を反映して2009年1〜2月にかけて生産者乳価の引き下げを実施した。こうした中、WCBでは経済の減速から予想以上に乳製品国際価格が下落したため、2009年2月に続き4月にも生産者乳価の再引き下げすることを公表した。しかしながら、その数日後、同社では、生産者と協議の結果、4月からの乳価引き下げを撤回することとした。生産者乳価の再引き下げ公表後、いくつかの生産者が生乳供給先を他社に振り替える動きがあったとも報道されている。


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