需給動向 海外

◆E U◆

価格支持政策の実施により域内市場が好転の兆し


◇絵でみる需給動向◇


バターの介入買入における初回の入札では 従前とほぼ同水準の単価で6,665トンが落札

 既報(「畜産の情報」4月号)のとおり、2009年3月から開始されたバターの介入買入は、3月第1週の時点で固定単価(100キログラム当たり221.75ユーロ 注1(約29,700円:1ユーロ=134円))での買入上限である3万トンを超過し、その後、月2回の頻度で入札により単価が決定される買入制度に移行した。入札制への移行に伴い単価がどの程度変化するかが注目されていたが、3月19日の乳業管理委員会で明らかとなった初回の入札結果では、最低落札単価は、同220.00ユーロ(約29,500円)で固定単価とほぼ同水準(99.2%)となった。また、落札数量は6,665トンであった。

 この結果、2009年3月第3週までのバターの介入買入量は全体で約3万7千トンとなったが、バターの介入買入が実施された2004年から2006年までの同時期の買入量はいずれも5千トン前後となっていることから見ても、2009年の介入買入の過熱ぶりがうかがえる。


  注1: 2007年7月1日からバターの介入買入単価は、介入価格(100キログラム当たり246.39ユーロ、約
  33,000円)の90%の水準とされている。



 一方、1月から開始されている民間在庫補助(PSA)の申請は、1月時点では週当たり6,000トン程度の申請があったものの、2009年3月に入り生産されたバターのほとんどが介入買入に向けられたため、3月に入ってからは週当たり2,000トン程度まで鈍化する結果となった。

バターの年次別介入買入量(3月第3週時点)

脱脂粉乳の介入買入数量は4月 第1週時点で97,346トン

 脱脂粉乳の介入買入についても3月から開始されたが、バターと同様に申請が相次ぎ、4月第1週までの介入買入量は97,346トンに達した 注2。固定単価による買入上限が109,000トンであることから、脱脂粉乳についても近いうちに、入札により単価が決定される買入制度に移行するとみられる。


  注2: 当地業界団体によれば、4月第3週時点で脱脂粉乳の固定単価での介入買入は、既に買入上限
   に達した模様。

3月の域内価格はバターで前月より上昇

 乳製品に対する輸出補助金の単価は3月19日の乳業管理委員会では従前と同額とされたため、2月19日以降据え置かれたままであるが、2009年3月よりバターおよび脱脂粉乳の介入買入が開始されたこともあり、3月の域内価格は、脱脂粉乳はやや低下したもののバターは前月より上昇した。前述のとおり、入札制に移行したバターの介入価格がほぼ従前の水準で落札となったことも今後の好材料となるとみられるが、3月23日に開催された農相理事会では、主要加盟国から、昨年末に政治的に合意されたばかりの2009年からの段階的なクオータ拡大の停止を求める提案が早くもなされるなど、依然としてEUの酪農をめぐる情勢は厳しいとみられる。

バターの域内価格および輸出補助金の推移

脱脂粉乳の域内価格および輸出補助金の推移

 


元のページに戻る