需給動向 海外

◆E U◆

2008年の豚肉輸出量はドイツが22%増、デンマークは1%減


◇絵でみる需給動向◇


ドイツ産豚肉の輸出の伸びはポーランド、 ロシアおよびウクライナで顕著

 イギリスの農業・園芸開発委員会(AHDB)の資料によれば、EU最大の豚肉生産国であるドイツの2008年における豚肉輸出量は、前年比22%増の128万トンとなり、過去最高となった。ドイツの2007年における豚肉輸出量も前年比23%増となっており、2006年の輸出量を基準とすれば、この2年間で輸出量が1.5倍となったことになる。

 この大幅な輸出の伸びを支えているのは、ポーランド、ロシアおよびウクライナといった東欧諸国向けの輸出で、これら3カ国だけで全体の輸出増の約6割に相当する約15万トンの増加となった。EU域外であるロシアおよびウクライナ向けの輸出については、2008年前半に措置された輸出補助金が追い風となったとみられるが、ポーランド向けの輸出については、同国の繁殖母豚の減少などに伴う豚肉生産基盤の大幅な縮小を補う形で増加したと考えられる。

 なお、ドイツ産豚肉の日本向け輸出については、家畜衛生面での条件が整った2008年5月以降、非加熱の豚肉についても貿易が可能となったところであるが、2009年1月にケルン近郊で確認された野生のいのししでの豚コレラ発生のため、現在、非加熱の豚肉についてはわが国への輸出が停止された状態となっている。

ドイツ産豚肉の輸出量の推移

2008年のデンマーク産豚肉の 輸出量は1%減

 一方、EU加盟国の中でわが国に対する最大の豚肉供給国であるデンマークについては、過去3年間の輸出動向を見ても、わが国への輸出を含め、量、国別シェアともに大きな変化は見られない。ただし、ポーランド向けの輸出については、2006年の7万6千トンから2008年の14万8千トンへと着実に増加している。ポーランド向けの輸出増加については、前述のようにポーランド国内の豚肉生産基盤が縮小したことに加え、ポーランド産豚肉の域内における価格競争力が2008年に低下したことも影響していると考えられる。

 既報(畜産の情報2009年4月号)のとおり、近年デンマークからドイツへの生体(特に子豚)の輸出が急増しているため、デンマーク国内の豚肉産業の縮小が懸念されている。関係者によると、デンマークの子豚生産者にとってドイツ向け子豚の販売価格が有利な状況で2008年は5百万頭超の子豚がドイツに輸出されたが、今後もこの流れが続くかどうかは販売価格の動向次第としている。

デンマーク産豚肉の輸出量の推移
EUにおける豚枝肉市場価格の推移

 


元のページに戻る