輸出ブランド

香港に飛ぶ宮城の赤豚



 平成25年までに輸出額を1兆円規模に拡大するという目標の下、官民挙げての総合的な輸出戦略が推進されています。こうした中、各地の畜産物輸出ブランドについて、随時、本稿で紹介していきます。 今月は、宮城県北部・登米(とめ)市の霜降り豚肉について、地元農業生産法人が中心となって実施している例を紹介します。

県内第1位の養豚地域

 宮城県北部の登米市は岩手県と接し、古くからコメの産地として知られている。また、県内有数の畜産地帯でもあり、特に養豚産出額は、同県の約3割弱を占めて第1位の座にある。

「農業を食業に変える」

 登米市の農業生産法人・有限会社伊豆沼農産(昭和63年創業。以下「伊豆沼農産」)の伊藤社長は、「農業には、生産物に責任を持って消費者の口まで届ける義務がある」という信念を持ち、「農業を食業に変える」ことを理念に、農産物の加工、販売および自社製品を利用したレストラン経営などを行っている。自社農場のほかに、信頼できる仲間の養豚業者から安全・安心な飼養方法にこだわった豚を仕入れている。

宮城の赤豚、平成16年から香港へ輸出

 伊藤社長は平成15年、日本食品の海外市場開拓視察団の一員として訪れた香港の百貨店で、宮崎県産の豚肉が高値で販売されている様子を見て刺激を受け、その場で百貨店の売り場担当者と交渉して商談をまとめた。

 この当時、伊豆沼農産は、宮城県畜産試験場が開発したデュロック種「しもふりレッド」の純粋交配により生産された「伊達の純粋赤豚」(伊豆沼農産登録商標)の販売を、黒豚産地である鹿児島県でも開始したばかりであった。伊藤社長は、香港での赤黒対決という話題性に加え、食材が世界中から集まる香港で「伊達の純粋赤豚」の安全性と味が評価されれば、地元の生産者・加工従事者にとっても大きな励みになり、最終的には国内自給率の向上にもつながると考えたのだった。

 香港向け輸出は平成16年(1.2トン)に始まり、18年には「伊達の純粋赤豚」1.7トンを含む自社製品4トンを輸出した。平成20年の輸出量は、「伊達の純粋赤豚」2.9トンを含め5.2トンとなった。しかし、一方では国内のファンも多く、現在は海外需要に応じ切れないといううれしい悲鳴も聞こえている。

 協力:宮城県農林水産部畜産課
    農業生産法人有限会社伊豆沼農産

(写真提供:伊豆沼農産)

 


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